それからも毎日宮村は彼女に話しかけ続けたが、彼女は以前より冷たい態度で接していた。
誰もいない図書室、宮村と彼女は二人でカウンターに座っていた。
彼女は静かに本を読んでいた。宮村はただ何もせず、彼女を見つめていた。
「ねぇ苗字さん。」
「図書室では静かにしてください。本に集中出来ません。それにこっち見ないでください。」
相変わらず冷たい態度であしらわれたが、宮村はめげずに話しかけた。
「何の本読んでるの?」
「……宮村君、もう私に話しかけないでください。」
「…嫌だよ」
「なんでですか」
「嫌なものは嫌だよ」
「意味がわかりません」
彼女は本を置いて宮村を見る。
その瞳は、怪訝な目をしていた。
宮村は、ぼーっと窓の外を見ていた。
「どうして、私に構うんですか?」
「俺が話したいからだよ」
「なんで…私と話したって楽しくないでしょう?」
「そんなことない」
外を見ていた宮村が突然彼女の方を振り向き、そして真剣な眼差しで彼女を見つめた。
「俺は君と話すのが、好きなんだ」
止めてください。
(同情なんて、いらないです)
(そういった彼女は)
(複雑そうな顔をした。)
110517
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