それから数日、相変わらず宮村は彼女に話しかけ続けた。
だが毎回彼女から、話しかけないでとあしらわれていた。
最初、宮村はただ単純に彼女に興味を持っていただけだった。
しかし、毎回あしらわれる度に、その思いは変わっていった。彼女のこの間の寂しそうな顔を思い出す度に、その顔を笑顔にしたいと思うようになっていった。
そんなある日、宮村はクラスの女子数人に話しかけられた。
「ねぇ、宮村」
「ん、なに?俺委員会だから急いでるんだけど…」
「ごめんね?なんで最近苗字さんと一緒にいるのかなって疑問に思ったからさ」
「…ダメなの?」
「だってあの子変わってるし、気味悪いじゃん?」
「…そんなことな」
宮村が否定しようと口を開いたときに、ガタンッ、と後ろから音がした。
視線をやると彼女が悲しそうな、イライラしてるような表情で宮村達を見ていた。
そしてすぐに翻って走り去っていった。
「苗字さんっ!…ふざけんなよ、お前ら。」
「なっ…私たちは悪くないわよ!」
「それ本気で言ってるんだったら、お前相当頭イッてんだな。…とりあえず、彼女は変わってるかもしれないけど、それでもお前らよりは魅力的な女性だよ。」
そう言って宮村は彼女の後を追った。
「苗字さん!」
「…なんですか」
「ごめん、あれは…」
「触らないで!」
宮村が彼女の手を握ろうとすると、彼女は勢いよく宮村の手を払った。
近付かないで。
(…一瞬でも、)
(貴方を信用しようとした私が馬鹿でした。)
(そう言った彼女は、)
(前よりも悲しそうな顔をしていた)
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