初でーと?
「…先生、一緒にって…?」
「いや、俺も一緒に観光する人いなくてよ…だから一人同士だし、と思ったんだけど…嫌だったか?」
「!…っ嫌じゃないですっ!ぜ、是非お願いします!」
「…ははっ、元気だな。じゃあ、行こうぜ?」
「はいっ!」
私は嬉しさで顔がにやけないように、一生懸命顔に意識を集中させつつ、先生の隣に立った。
「あ、クレープ屋さんだ。」
「…苗字、食べたい?」
「えっ?あ、いや…その…」
「…仕方ない、俺が買ってやるよ。」
「え、や、いいですよっ!悪いですし…」
「別に良いよ。クレープくらい。あ、でも他のみんなには、秘密。…な?」
先生はそう言いながら人差し指を唇の前にたてた。
そして私の心は"秘密"と言われ、大きく揺れた。
先生と二人だけの秘密…なんかすごいうれしいっ!
「はいっ!ありがとうございます!」
「ははっ、かわいいな、お前。」
「…ええっ!?」
「ん?」
「いや、な、何でもないですっ」
か、かわいいって!
た、多分先生無意識なんだよねっ?
でもなんか恥ずかしい!
「はい。」
「あ、ありがとうございます!」
ベンチに座って待っていると、先生が二つのクレープを持ってこちらに来た。私は先生から渡されたクレープを頬張る。
「んーっ、おいしいっ!」
「そか、よかったな。」
「へへへ、先生、ありがとうございます。」
「いや、…なんか、俺こそありがとな。」
「え?」
「あ、いや、なんでもねぇ。」
そのあと、二人でクレープを食べた後、観光名所などを回り歩いた。
「そろそろ集合時間だな。じゃあ行くか。」
「はい、…先生、」
「ん?なんだ?」
「今日は、ありがとうございました。楽しかったです!」
「…いや、俺の方こそありがとな。苗字が居てくれたお陰で、楽しかった。」
ドキドキしてばっかりの一日だったけど、私には忘れられない日となった。
110809
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