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*設定はコルダ2アンコールの天羽達と中華街の春節に行くときに約束を断ったとき。
香穂子=夢主。





『ごめんね、天羽ちゃん…』
「ううん、風邪なら仕方ないよ!とりあえず休み中に風邪治すんだよ?」
『うん…』
「じゃあお大事に、苗字ちゃん」
『ありがとう』


天羽の電話の相手は苗字 名前。星奏学園の普通科で、ひょんなことから学内コンクールでヴァイオリンを弾くことになった女の子。無事コンクールも終了し、クリスマスコンサートも終え、今度はオケのコンミスに選ばれて練習を重ねている最中のこと。

「天羽、苗字なんだって?」
「風邪ひいちゃったんだってさ」
「え、愛称(○○ちゃん)ちゃん来れないの!?なんだ、残念…」
「そんなあからさまに残念そうにしたらみんなに失礼だよ、火原。」
「あ、ごめん、そういうわけじゃなくて…」
「とりあえず中華街行きますか!」
「あ、天羽さん。申し訳ないんだけど僕急用が出来たから失礼するよ。」
「え!?柚木先輩もですか…わかりました。じゃあ他の人は行きますよー!」
「じゃあな、柚木!また明日な!」
「うん、また明日。」




「はぁ…行きたかったなぁ…」
イベントというものは、息抜きにと思って楽しみにしているとこういう時に限って風邪を引いてしまうもので、本当に風邪を引いてしまった名前は家で寝込んでいた。

でもなってしまったものは仕方ないと割り切り、名前は寝に付こうとしていた。
遠くでピンポン、とインターホンがなってるのが聴こえたが睡魔には勝てずそのまま目蓋を閉じた。



「ん…」
あれから何時間がたっただろうか、名前は目を覚ました。
「おはよう、名前」
「あ…おはようございます、柚木先輩……………柚木先輩!?」
何故か起きる前にはいなかった、むしろ今は春節に行ってると思っていた、柚木がいた。

「柚木先輩、じゃなくて梓馬だろう?名前」
「はわっ…えと…梓馬さん……で、どうしてここにいるんですか?」
「うん、天羽さんから風邪だって聞いて心配だったから来たんだけど…迷惑だったかな?」
そう柔らかな物腰で聞く柚木の背後には、有無を言わさぬような黒く禍々しいオーラが見えた。

「!…迷惑じゃ、ないですけど…」
名前は寝る直前のインターホンを思い出した。

「…けど?」
「…ずっと、寝顔見てたんですか…?」
恥じらいながら聞く名前の様は柚木のドS心を擽ってしまうわけで…―

「見たよ、1時間以上は見てたかな。」
柚木は清々しいほどの笑顔で答えた。


「な、なんで起こしてくれなかったんですか!?」
「病人を無理矢理起こすわけにはいかないだろ?」
「でもっ…」
「でもじゃない。そんなことより、辛くない?」
「あ、…はい、大丈夫です。」
「それならよかった。」
柚木は名前の頭を優しく撫でた。

「それ、なんですか?」
名前は柚木の横にあるお皿を指差した
「お粥だよ。お母さんがついさっき持ってきてくれたんだ。」
「そうですか」

名前がそういえばお腹空いたかも、と思っていたら、柚木が怪しげに口元を吊り上げた。
「食べさせてやるよ。」
「……はぇ!?」
「どうせ手に力入んないだろ?俺が食べさせてやるから。」
「いや、いいですよっ!大丈夫です自分で食べますっ!」

名前が全力で否定すると、柚木はちょっと不機嫌そうな顔をして名前の唇に人差し指を当てた。

「口答えしないの。ほら、口開けて、名前。」
柚木は口を開けるのを誘導するように顎に手を当て、親指で下唇を触った。
「!あぅ…ぁー…」
「ん、いい子だ。」

そういうと柚木はお皿からお粥を一掬いして、火傷しないよう息を吹き掛けて、名前の口へ運んだ。
「おいしいかい?」
「はい…」
ふと名前の顔を見ると真っ赤に染まっていた。
「顔、赤いぜ」
「!…だって…恥ずかしいんですよ…これ…」
「そんな名前も、可愛くて好きだぜ?」
「!!?だ、だからっ…それが恥ずかしいんです…!」
「名前は俺の愛情表現が嫌なのかい?」
「いやっ…そういうわけじゃ…」
柚木が少し眉を下げて聞くと、名前は慌てて弁解した。その姿が可愛くて、もっと苛めたくなったが、あえてやめておいた。
「…かわいい。ま、とりあえず早くお粥食べないと冷めちゃうよ。」
「あっ…はい!」






「名前、とりあえず今は治すために休んどきな。何かあったら起こしてやるから。」
「え…でも梓馬さん、お家は…」
「大丈夫だよ。御婆様には連絡いれてあるから。」
「…ありがとうございます。」
「感謝される事じゃないよ。さ、もう寝な。…治ったら明日、二人で一緒に今日のリベンジも兼ねて春節に行こうか。」
「!…はいっ!じゃあ…おやすみなさい、梓馬さん」
柚木が名前の額にキスをすると、名前は嬉しそうに微笑んでから、眠りについた。




たまには風邪も、
(いいのかもしれない、と)
(心の隅で、思い始めた2人だった)







金色のコルダ/柚木梓馬
初コルダ夢です。
柚木様口調が難しいですね…精進せねばっ!
ちなみに柚木様の次の日の服とかはもちろんお家の人が持ってきてくれてます(笑)


110115


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