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「“現在クロガネシティジム休止中、また日を改めて起こし下さい”…………えぇ!?」


クロガネシティに着き、そのまま真っ直ぐジムに向かった私たち。道中出会った親切なお兄さんに道案内をしてもらったまでは良かったけど、肝心のジムが休止中だった。ドアには紙が貼られており、一向に開く気配は見られない。お兄さんも貼り紙を読んで、ああと納得したような声を出した後いつものことと言わんばかりに教えてくれた。


「うちのジムリーダーは炭鉱の仕事もあるからな、他のジムより開けられる時間が限られてるんだよ。今日はいつもより早めに閉めちゃったみたいだな」
「そ、そんなぁ〜……折角来たのに」
「まあまあ、どうせなら今日はクロガネシティを観光して、明日ジムに挑戦すればいいじゃないか」


それもそうだけれども、私としては今すぐ挑みたかった気持ちもあったため少し残念だ。けれどジムリーダーも忙しい身だし仕方ない、と割り切ることにして、今日はたっぷり観光してやろうじゃないか!元々新しい街を散策するのは好きだしね!

お兄さんにお礼を言って別れた後、PCで2匹を回復させに向かった。ついでに本日泊まる部屋も予約する。


「はい、お預かり致します。こちらお部屋の鍵になります。回復が終わりましたらお呼び出し致しますので、しばらくお待ちくださいね」
「ありがとうございます。……あの、ここに本が置いてあるスペースなどはありますか?」
「それでしたら、あちらの休憩スペースにありますよ。最新のポケモンジャーナルも置いてありますのでご自由にご利用ください」


柔らかく笑いながら教えてくれたジョーイさんに一礼した後、教えられた休憩スペースに向かう。ここに来たのは私も休憩したかったのはもちろん、勉強を進めたかったからだ。つい数時間前にもトレーナーズスクールで行ったばかりだけど、如何せん覚えることが多すぎる。


「タイプ相性はだいぶ分かった……と思いたいから、さっきやった状態異常と木の実について簡単に復習しよう」


ポケモンが毒ややけど状態になった際に、市販の薬はもちろんのこと木の実にも回復の効能があるらしいから、一緒に学習した方が覚えるのが早そうだしね。勉強と言ってもハンドブックを読むくらいだけど、木の実の写真が載ってるから覚えやすい。

ここには私以外にも沢山のトレーナーやポケモンが来るから、同じく呼び出し待ちの先輩トレーナーの方に色々教えてもらったりもした。そして餞別ということで、漢方薬?らしい復活草をもらった。
苦そう……。

そうこうしているうちにアナウンスが流れ、2匹を受け取った後再び外へ出る。碧雅は部屋で休みたかったみたいだけど、行き先はお兄さんに教えてもらった、クロガネ炭鉱博物館だ。




「こんにちはー!ここはクロガネ炭鉱博物館です!館内ではお静かに見学お願いします!」


元気なお姉さんの前で受付を済ませ建物内を見渡すと、沢山の人が展示物を見回っていた。私と同じ観光目当ての人もいれば、化石が好きな人が頻繁に訪れたりもするらしい。面倒くさそうに碧雅がボールの中で欠伸をする。


『僕先に帰っててもいい?』
「せっかくだから見ていこうよー!ほら、化石とかも展示されてるし!」
『興味ないからパス』
「ええええちょっとちょっと勝手に出ようとしないで!」


ボールから飛び出てすたすたと出口に向かう碧雅を慌てて止める。ちなみに紅眞は「化石かっけー!」と言いながら展示物をガン見。太古のロマンでも感じたのかな。暫くの間碧雅を通せんぼしていると、彼は何か思いついたような声をあげた。


『あ、いいこと思いついた』


私は嫌な予感しかしないよ。




◇◆◇




「炭鉱思ったより広くて暗いねえ……紅眞、怖いから近くに寄って」
『アイアイサー!』


碧雅の提案した殴り込み……もといジムリーダー本人に直接会いに行きジム戦を申し込もう、ということになり現在クロガネ炭鉱の中。化石に夢中だった紅眞もジムリーダーに会えるということで喜んで賛成してしまった。ジムリーダーも忙しいだろうから、そんな無茶は迷惑だよ……。というかそんなにバトルしたかったの君たち。


『さっさと終わらせて次に行くよ、ジム戦勝ったらアイス奢りだし』
「そんな約束した覚えないけど!?」
『紅眞を見つける前に約束したフレンドリィショップ結局行ってないし、そこで買ってね』
「あ、それは確かに……ってアイス買うために行くんじゃないけどね!?」
『姉ちゃん!俺もふらんでーしょっぷ行きたい!』
「フレンドリィね」


暗い洞窟でも懐中電灯と2匹との会話のおかげで思ったより怖がることなく奥に進むことができた。けど、私、思い切り外で碧雅達と会話しちゃってたよね?今は人目がないし、さっきは偶然見られることがなかったからよかったけど、碧雅にも以前注意されたし、気をつけないと。
気を引き締めてまた一歩進む。

大きな炭鉱をぐるりと一周するように進んでいけば、赤いヘルメットの男の人が見えた。もしかして、あの人がジムリーダー?


「あの、突然すみません。もしかして、ジムリーダーさんですか?」
「え?」


思ったより若い、メガネをかけたイケメンさんだ。


「確かに僕はジムリーダーだけど……もしかして、挑戦者?」
「は、はい!ユイと申します。お忙しいところすみませんが、この子達がどうしても戦いたいみたいで」


紅眞と碧雅を見ながらそう言うと、ジムリーダーさんはわざわざここまで来てくれてありがとうと爽やかにお礼を言った。めっちゃ好感度高いですイケメン爽やかお兄さん。


「今日は早めにジムを閉めてしまったこともあるし、1対1のバトルでよければジム戦を受けるよ」
「いいんですか!?」


構わないとうなづいてくれたジムリーダーさん。名前はヒョウタさんと言うらしい。少し待ってほしいと言われ大人しく待っている間、ワンリキーのいわくだきや炭鉱の人の仕事の風景を少し見れて楽しかった。

兎にも角にも、当初の予定通りジム戦ができそうだ。


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