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無事トバリジムで勝利しPCに戻ってきた私たち。このままの勢いでいざ次の街へ出発は急すぎるし紅眞たちも休む必要がある。出発は明日の昼頃に決まった。ギンガ団の本部も近いし、長居は禁物だよね、うん。
紅眞たちを預け部屋に戻るといつも任せ切りも悪いから、と璃珀が本日の夕食を担当することになった。碧雅も問答無用で巻き込んで。


「え、僕もやるの」
「構わないだろう?折角人の姿になれるんだから、色んなことを試してみていいと思うけど」
「……ことわ、」
「やろ、みゃーちゃん」


くい、と碧雅の服の袖を引っ張る白恵。意外なことに白恵はやる気があるようだった。まだ幼いこともあるからと璃珀は声をかけなかったんだけど、自分から「ぼくもつくりたい」と言ったんだとか。流石の碧雅も仲間でまだ幼い子の頼みを無下にする訳にはいかないみたいで、渋々了承したようだ。


「さあ、そうと決まれば買い出しに行こうか。何が食べたい、ご主人?」
「うーん、美味しいもの」
「それ、一番困る返答だよ」
「……木の実料理」
「ふふっ、りょーかい」
「いざ。れっつ、ごー」


……そういえばこのメンバーは料理できるのだろうか。璃珀は各地を旅していたみたいだし、自炊の心得はあるだろうけど。まあそうじゃなかったらご飯作るなんて言わないよね。白恵はまだちっちゃいしやったことないのは明白。今度紅眞と作る時にでも一緒にさせてあげたいな、せっかく興味を持ってくれてるんだし。


(ただ、碧雅が料理してるところが想像つかない)


ぼんやりとキッチンに立って料理をしている碧雅を想像するけど、どこか似合わずその光景が面白くて小さく笑いがこぼれた。


「ユイちゃん、どうしてわらってるの?」
「あの笑い方は失礼なこと考えてる笑い方だね。後で締めとく」
「ふぅん……?」
「そうだご主人。ご主人もトバリデパートに行くかい?」
「デパート?」


トバリデパート。シンオウ地方で一番大きいデパートなんだっけ。そういえばポケモンの参考書も欲しかったし、ウィンドウショッピングで気分転換も良いかもしれない。それに女の子ならみんなデパートは気になるよね、どんなお店があるのか見てみたいし。そうと決まれば動くのは早い、行くと伝えバッグに簡単に荷物を詰めて人型の3人とトバリデパートに向かった。


4人で街道を歩く中、時折感じる人の視線。それは私ではなく、私の周りに向かっていた。まあ確かに3人とも目立つ容姿をしているからね。ただ、視線の理由はおそらくそれだけではない。


「ねえ璃珀」


私はこの中で一番注目を浴びているだろう彼に言葉を投げかけた。


「どうしてそんな格好をしてるの?」
「え、変かな?」
「……いつもとだいぶ違うから」


璃珀の特徴的なサラサラの金髪ロングはそのままに、目はサングラス、頭は大きめのハット、そして口元にはマスクという格好だ。言葉を濁したけど傍から見ると結構……いや大分怪しい人になっている。それでも輪郭とかサングラスから僅かに見える目元とかは明らかに美形なの丸分かりなんだけどね!


「虚しい努力をしても無駄だと思うけど。ていうかわざとやってるだろお前」
「酷いなぁ。これでもギンガ団の本部が近いんだから目立たないように変装してるのに」
「まあ確かにハクタイビルの時もミロカロスだって分かった時凄かったもんねぇ……」


なんだかお忍びの芸能人みたいだ。なるほどねぇ、一応璃珀も警戒はしてるんだな。先頭を駆ける白恵が「でぱーと、とうちゃく!」と大きな声をあげる。そのまま私の手を掴み入口まで一緒に連れられる。


「ユイちゃん、こっちいこ!」
「ちょ、ちょっと!?」
「丁度いいや。それじゃあ白恵はユイのお守りをよろしく」
「逆!普通逆でしょ!」
「落ち着いたらデパートの屋上で集合しようねご主人」
「にこやかに見送らないで!璃珀ヘルプ!へールプ!!」


白恵も腐ってもポケモンだ。手の力が思ったより強くて離すことが出来ない。心做しか楽しそうにしている白恵を見て仕方ないかと若干諦め、2人を見やった。
あ、でも今の不審者臭い璃珀と一緒に行動する碧雅の方が大変か。と思ったのも束の間、璃珀は不審者3点セットをすぐに脱ぎ何事も無かったかのように碧雅と話を進めていた。


(中では脱ぐんかい!)


なんとも言えぬ感情を抱いたまま白恵にズルズルと引きずられデパートに入る私であった。


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