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◇◆◇




「ポケモンコンテスト?」
「そう。ご主人ならきっと好きじゃないかなと思って、知ってたのかな?」
「聞いたことあるよ。ヒカリちゃんって子が教えてくれたんだ」
『懐かしいな!ヒカリも元気にしてるかなー』


今向かうのはふれあい広場に行く前にも見た大きなドーム状の建物。看板を見ると“コンテスト会場”と書いてあった。見るからに華やかな雰囲気の建物にオシャレなトレーナーやアイドルのような服装をした人たちが次々と中へ入っていく。


「おや?アナタは入らないのデスか?」


その雰囲気に気圧されていると後ろから話しかけられた。振り返るとそこに立っていたのは紫の髪をクローバーのような髪型で纏め、スパンコールの散るドレスを着た女性。私の顔をまじまじと見て「ここでは見ない顔デスね。旅人デスか?」と私の目線に合わせてくれた。


「は、はい。ユイと言います。ここには初めて来たんですけど……」
「オーそうなのね!ヨスガシティへようこそ!コンテストは寧ろ初めての人にこそ見て欲しいのデース!」


な、なんというか、テンションが高い人だな。
ささ!と背中を押されるがままに会場に入ってしまった。中に入ると建物の雰囲気から女の人がほとんどだと思ったけど、男の人もそれなりに多くいた。自分のポケモンのコンディションを確認していたり、かたや緊張している出場者の応援をしていたり。受付までやって来ると見慣れた白いニット帽を被った女の子が。振り向いた彼女は私を見て大きな目を丸くした。


「あれ、ユイさん?」
「ヒカリちゃん!?」
「知り合いがいたのデスね。でしたらアタシはここで。コンテスト楽しんでいってクダサイユイさん!」


ある意味嵐のように颯爽と去っていく女性。女性の去っていった方を見ながらメリッサさんと一緒なんてビックリしたとヒカリちゃんが呆然としながら呟いた。


「あの人、メリッサさんっていうんだ」
「え!ユイさんもしかして知らないんですか!?」


頷くと驚いた顔をするヒカリちゃん。聞けばあのメリッサさんという女性はヨスガシティのジムリーダーで尚且つコーディネーターでもあるトレーナーだという。ジムリーダーだったんだ、あの人……。今日開催するコンテストにも出場予定らしく、ヒカリちゃんも参加するそうだ。これは応援するしかないのでは。


「ユイさんは出ないんですか?」
「今日はひたすら観光。コンテストも見てみたくて。ヒカリちゃんの応援してるよ」
「やったぁ!」


あれ、そういえば誘った張本人の璃珀はどこに?先程から彼の気配が無くなっていた。辺りを見渡すと、会場の片隅に女性の人だかりが。まさかと思って近づいて背伸びしてみれば僅かに見えた、奴の金髪が。


「こんなところで何やってるの璃珀さんんん!?」
「やあご主人、少し話し相手になってただけだよ。連れが来たから俺はここで、ありがとうお嬢さんたち」


そう言い手を振ると璃珀を見て名残惜しそうにしていたけど、観念したのか散っていった。去り際に私のことをちらほら見てくる人たちがいてちょっと怖かったんですけど。


『お面でも被ってればいいんじゃない。ほら、丁度あそこに売ってるし』
「それはそれで目立っちゃうと思うんだけど!?」
「さ、受付を済ませようか。よろしくねヒカリさん」
「えっ!?は、はい!」
「おいこらヒカリちゃんを誘惑するのは私が許さないぞ」
『ユイの目がガチで気持ち悪い』
『完全に敵に向ける目をしてるな』
『普段のマスターからは想像できないですね』
「妬いてくれないのご主人、つれないなぁ」
「みんな黙らっしゃい!」




「ーーそれでは、ポケモンコンテスト・ヨスガ大会!これより開幕です!」


そして始まったポケモンコンテスト。観客席にも沢山の人が集まっていて、始まる前からみんなボルテージが上がっている。司会の女性の元気なナレーションでコーディネーターたちが華やかな装いに包まれポケモンたちと共にステージを彩る。そして次にやってきたのは、


「エントリーナンバー16番、ヒカリさんです!」
「行くよ!ポッチャマ!」
『はーい!頑張るぞー!』
(待ってギャン可愛い)


バブルシールに囲まれ手足をパタパタと動かし元気良さをアピールする。ポッチャマの可愛さを全面に利用したパフォーマンスは私はもちろん会場のみんなもメロメロだ。審査員の人からも好評価で、特にバブルこうせんとれいとうビームの合わせ技は見事の一言だった。


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