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ドッペルゲンガーという言葉は一度は聞いたことがある。そっくりさん。地球には自分と同じ顔をした人が3人はいるとか。ドッペルゲンガーに会うと死んでしまう、とか。色々な話がある。
ポケモンにもドッペルゲンガーは存在するの?


「構わないけどあたしたちがいることを忘れないでね、ステラ」
「わーってるよ、俺もそこまで加減できないほど馬鹿じゃねぇ」
「……まぁいいわ。部下たちもやられてしまったようだし。ポケモン像の調査も終わり、発電所のエネルギーもマーズが集めた。ここに長居する必要は無いから、あたしは先に本部へ戻ってるわね」


「ギンガ団に逆らうとどうなるか、思い知ってももう遅いわ」と言い残し、ジュピターはスカタンクを戻し窓からヘリコプターに乗り去っていった。
ごくりと唾を飲む。これから何が起ころうとしているのか漠然としないけど、わかるのは彼は私たちの命を奪おうとしている事だ。あの技は恐らくシャドーボール。あの大きさから見て相当な威力、範囲も広い。それにこのビルを壊すくらいの勢いで言っていたから下手をすればビルの瓦礫がプラスされることも考えられる。

あれ、完全に私たち詰んでない。それに下で戦ってる璃珀さんもピンチなのでは。
そんなことを考えてる間に向こうは力を十分に溜めたらしく、それを放った。


(あー……私、ここで終わりかぁ)


私だけならまだしも、みんなを巻き込んじゃったね。できる限りみんなを抱き寄せて、ギュッと力いっぱい抱きしめる。

こんな私と一緒にいてくれてありがとう。せめて私が少しでも技を受けられるようにして……──


『……いい、かげんに、……しろ』


小さく聞こえた声。そして内側から感じる冷気。


『この、……っクソ、野郎!!』


今までで一番感情の籠った怒りの声と共に強烈な冷気を伴ったれいとうビームがぶつかった。爆風を巻き起こしいつの間にか紅眞がつつくで縄を解いた緋翠がリフレクターを円形に展開する。そのおかげで爆風の衝撃を喰らうことなく、煙が明けた。ビルは幸い崩れることは無かったけれど、部屋の中や天井はボロボロで上から空が覗いていた。この爆発だと街の人も気づいちゃうだろうな。
シャドーボールを放ったステラの右手は、凍っていた。


「…………は、」
『……ぐっ、……ゴホッ』
「碧雅!」


どこからその力を出したのか、一番威力のあるれいとうビームを放った碧雅は咳き込みそのまま倒れてしまった。目を見開き固まりながら氷った己の手を見つめるステラに、逃げるなら今しかないと震える足に喝を入れ走り出そうとした時だった。


「あっはははは!」


突然ステラが大声を上げて笑いだした。碧雅と同じ顔をしてるからか、普段笑うことの少ないその顔が笑っているのは不思議と恐怖を感じさせた。


「へー、おもしれー。やるじゃんあんたら」
「え、なんで溶けて、?」
「コイツに免じて見逃してやるよ。今機嫌良いし、まあこれに懲りたらもうあんま出しゃばんなよ」


右手の氷がじわりと内側から溶けていき、それは全て水となり床に溶け込んで行った。指を動かし問題ないと判断したのか、私たちに愉しげな笑顔で忠告を残したあと穴の空いた天井に飛び、「じゃあな!」と手を振りそのまま姿を消してしまった。
そして静寂な時間が戻ってきた。呆然としてしまっていたのか、人型になっていた紅眞に肩を揺さぶられ、現実に帰る。


「おいユイ!早くPCに行かないと!」
「……へっ、?……あ、そうだ、碧雅!」


呼びかけても反応は無い。息は、まだある……!碧雅をボールに戻し、下っ端を片付けこちらに向かっていた璃珀さんとも合流を果たし私たちはPCに戻った。


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