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次の日。私たちはジム挑戦のためハクタイジムの前にいた。ここのジムはくさタイプが専門みたいで、ジムの周りには沢山の植物が植えられている。
ドアを開けて入ると、中心にある大きな花時計が目に入った。わー、可愛い。
何人かのトレーナーと戦い、時計の針を足場にして進むと、整地されたバトルフィールドと、その前に立つ女の人が見えた。こんにちはと挨拶をすると、「いらっしゃい。ズバリ!あなたチャレンジャーね」と指を刺された。


「ハクタイジムへようこそ。わたしはジムリーダーのナタネ。準備は出来てるかしら?」
「はい!よろしくお願いします」


案内された位置に立ち、ナタネさんと向かい合う。審判の説明を一通り聞き、初手のポケモンを選択する。使用ポケモンは3体。交換はチャレンジャーのみ許可されている。


「それでは……始め!」


戦いの幕が切って落とされた。ナタネさんはナエトル、私は紅眞を出した。クロガネジムの時は戦えなかったから、今回は思う存分戦ってもらおう!


「紅眞、ひのこ!」
「ナエトル、からにこもる」


繰り出したひのこはナエトルの甲羅で防がれてしまった。さらに防御力も上がっている。技の使い方に無駄がない。流石ジムリーダー……。でも、こっちだって負けてはいられない。


「まだ防御をあげるよ。リフレクター!」
「その前ににどげり!ナエトルに技を打たせないで!」
『おう!任せとけ!』


さっきよりも格段に速く、素早い動きでナエトルの前に近づく。鋭い足を下から蹴り上げ、ナエトルが宙を舞う。そして今度は下に向かって蹴り倒す。土埃が舞う中、紅眞がジャンプしてこちらに戻り体勢を整える。


「速いわね、あなたのワカシャモ」
「この子の特性、“かそく”なんです。ちょっとやそこらのスピードでは負けないですよ」
「あちゃー、隠れ特性か。それは厄介ね」


ナタネさんは手を額に当てて困ったようにしているが、その口元は緩んでいる。どう戦おうかワクワクしている顔だ。それなら、と何か思いついたらしいナタネさん。上を指さし指示を出す。


「ナエトル、にほんばれ!」
「紅眞!とどめにひのこ!」


ナエトルの口から小さな日の玉が放たれたと同時にひのこが命中し、ナエトルはそのまま戦闘不能になった。確か天候が“晴れ”の場合はほのおタイプの技の威力が増す効果があるんだっけ。……まるで敵に塩を送るような行為だけど、何か意図があっての事だと確信した。だってナタネさんの顔は、まだ余裕なんだもの。
そしてその意図はこれからの戦いですぐに分かることとなる。


「行くわよチェリム」


次に繰り出したのは紫の蕾に覆われたポケモン。けれどその姿は一瞬で、にほんばれの日差しを浴びると蕾が開き、桜のような可愛いポケモンに変化した。
次にどこからが無数の種を出し、磁石のように紅眞にピッタリと張り付いた。そこから芽が出て、ジワジワと細い蔓が巻き付く。


『なんだこれ!?力が抜けてくる……』
「紅眞、大丈夫!?」
「やどりぎのたね。ワカシャモがフィールドにいる限り、この植物達が体力を吸収し続けるわよ」


彼の体力が尽きるまでね。

その言葉を聞き私は紅眞をボールに戻した。これで事実上相性抜群の紅眞は封じられたようなものだ。いくら特性で素早くなっても、蔦に絡まれてる身体では満足に動けないだろうし、いつ体力が尽きて倒れてしまうか分からない。何より、そんなことを紅眞に強いたくはなかった。
初めは紅眞もボールの中から抗議していたけれど、さっき体力を吸われたことを思い出したか、『これがなくなったらいつでも出られるからな』と不服そうに言った。


(チェリムをまずなんとかしなきゃ……それなら)


「碧雅!」
『……わかった』


炎でダメなら、氷で攻める!


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