IB | ナノ

3/4

受付のラッキーからボールを受け取り、部屋で今日の予定を話し合いながら2人の食事を用意した。と言ってもポケモンフーズだけど。

ギンガ団については気になるけれど、今日は各々休息をとることになった。碧雅は部屋で読書、紅眞はあまいミツという特産品が気になるみたいで早速外に出て行った。相変わらず対照的なインドア&アウトドア。夜ご飯はあまいミツを隠し味にカレーライスの予定らしい。
そして私はというと、


「うーん良い香り……」


昨日来た時はゆっくり見られなかった、ソノオタウン名物の花畑を見ていた。色とりどりの花が一面に咲いていて、自然と笑顔になる。街の人の話を聞いたところ、ここは昔荒れ果てた土地だったらしいけれど、この光景を見てしまえばそんな土地だったなんて想像つかない。深く息を吸って、吐き出す。花の香りでいっぱいの空気はほんのり甘い気がした。


(明日はどうしようかな)


地図を見る限り、ハクタイの森というところを抜ければハクタイシティに着くみたい。そこにはジムもあるらしいから、次の目的地はここかな。森がどのくらいの広さか分からないけど、念の為備えは万全にしておこう。

散策していると街の中心部に位置する花屋を見つけた。どうやら花だけでなく木の実も栽培しているようで、オレンのみを分けてもらった。確かこれは体力回復の効果があったはず。見た目は青くて触ると固いけど、味はどうなんだろ。


「…………う、うん。これはなかなか」


色んな味がゴチャゴチャになったような、不思議な味がした。視線を感じたので下を向くと、オレンのみを見つめているビッパが。食べかけで良ければと差し出すと、『わーい!』と嬉しそうに受け取り去っていった。ポケモンはどうやら美味しいと感じるらしい。
ビッパが走っていく方向を見ると、小さな人影が見えた。

女の子だ。両手で顔を覆いながら女の子は泣いていた。


「ねえ、あなたどうしたの?」


街からも少し外れているし、こんな小さな子がどうして一人でいるんだろう。
女の子は赤いリボンを揺らしながら教えてくれた。


「パパにね、あいたいの」


この先にある“谷間の発電所”をお家にしているという女の子と、そのお父さん。「うちゅうじんみたいなひとがたくさんやってきて、おいだされちゃったの」とまた泣きそうになる。
宇宙人で連想するのは彼らしかいない。こうも早くお目にかかるなんて。


「おねえちゃん、とれーなーさん?あたし、パパにあいたい」
「うん、そうだよね。今、お姉ちゃんの仲間を連れてきて、宇宙人みたいな人達を追い出してあげるから」
「ほんと?」


うるうると、不安そうに私を見つめる女の子。うっ、確かに私は弱そうに見えるけど、あの2人は強いんだよ!


「だいじょーぶ!ほら、ハンカチで顔拭いて」
「う、うん。ありがとうおねえちゃん」
「ここでひとりで待ってたら危ないから、一先ずPCに──」
「あの、少しいいかな?」


よしよしと女の子をなだめ街に連れていこうとした時、見知らぬ声が聞こえてきた。今までしゃがんで話を聞いていた為、頭上から唐突に話しかけられて驚いた。頭に影がかかっていたのに気づいて上を見た。そこにいたのは、


(うわ、超綺麗な人……)


サラサラと流れる絹糸のような金髪に、透き通った水のように澄んだ瞳。丁寧に整われた人形を連想させる中性的な顔立ち。私を見下ろしてくるその人の胸元には、雫の形をしたネックレスが光っていた。


prev / next

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -