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『兄ちゃんだけずりーなーいいなー俺もバトルしたかったなー!!』
「次出ればいいでしょ」
「今回は相性悪かったからね。次のジム戦は草タイプ専門みたいだから、紅眞に頑張ってもらおうかな」
『よっしゃー!もぐもぐ』


約束(?)通りジム戦に勝利した暁としてアイスをフレンドリィショップで奢り、夜なのでPCでゆっくり休むことにした。明日はコトブキシティに戻って北に進む予定。紅眞はやっぱりバトルできなかったことに不満がっていたけど、フレンドリィショップで買った料理のレシピ本とモモンアイスでだいぶ機嫌が良くなった。ちなみに頑張った碧雅にはモモンアイスとチョコアイス。


「ほら紅眞見てご覧ー、これがジムバッジだよ綺麗だよねー!汚しちゃいけないから私毎日磨こっと」
「絶対君3日も持たずに磨かなくなるでしょ」
「失礼な!頂いたものなんだからちゃんと大事にします!」
「おおお……!思ったよりちっさいけど綺麗だなー!」


人型になり天井のライトにかざしながらバッジを見つめる紅眞。見るのは構わないんだけど、そこ、ベッドの上だから転ぶと危ない……。

そう思ったのも束の間、紅眞は案の定ベッドでつまづいてしまい、そのまま落ちる!!……かと思いきや近くにいた碧雅の服を掴んでしまい、碧雅もバランスを崩し2人同時に転んでしまった。


「いってて〜……」
「…………。」
「ちょ!2人とも大丈夫!?」
「おう姉ちゃん!俺は大丈夫……ってああぁああぁ!!!」


無言の碧雅が怖いけど、どうやら怪我はないようで安心した。かと思いきや、突然叫びだした紅眞。どうしたのと聞けば冷や汗を流していて顔色が悪い。


「ば、バッジ……なくしちゃった……かも」
「なーんだ!バッジなくしちゃったんだ〜…………ってええぇぇえ!!?」


さっき転んだ拍子にどこかに飛んでしまったらしい。床やベッドの下まで探してもどこにも見当たらない。
嘘!貰ったばっかりなのにもう失くすなんて!


「うわぁああどうしよぉぉ!!もう一度お願いしてヒョウタさんにもらいに行く……?いやでももう散々ご迷惑おかけしてるし……!」
「ひょっとしたらキッチンに飛んでるかも!俺見てくる!」
「その必要は無いよ」
「ぐえっ」


がしっと碧雅に首の後ろを掴まれた紅眞。その手には先程食べてたチョコアイスの入れ物が。中には時間が経って少し溶けてしまったアイスと、思い切りそこに入ってしまっているコールバッジの姿。そして転んだ拍子に中身が頭にかかった碧雅の姿が…………あ。


「あ」


紅眞も同じことを思ったらしい。碧雅はただ微笑んでるだけ。これはやばい。
背後にはブリザードが吹いてる気がするけどきっと気のせい。


「ねえ紅眞、僕とバトルしたがってたよね。やってあげるよ、今、ここで」
「い、いやここでは危ないんじゃないか兄ちゃん!?姉ちゃんもいるし、室内で暴れたら、」
「問答無用」


冷たい冷気が走ったと思った瞬間、紅眞の足は凍りついて動けなくなっていた。部屋全体が寒い。怒ってらっしゃる。


「ほら、これなら紅眞も動けないし部屋も荒れないよ。じゃやろうか」
「うわあぁぁ!兄ちゃんごめんなさいいい!!ってぎゃー!!手がァァァァ!!」
「碧雅ストップ!アイスならまた買ってあげるからストップ!!」


急いでボールに戻してなんとか紅眞の命を守った。手まで凍らされてしまってて見ているこっちが恐ろしい。怒らせた碧雅はやばい。そう悟った初めてのジム戦後の一晩でした。


次の日、碧雅の食卓の前には紅眞の自作と思われるチョコアイスとモモンアイスがあったのでご機嫌は直りましたとさ。


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