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スクールを後にした私達は、都会的だったコトブキシティから一変した自然豊かな203番道路を進み、トレーナー数名とバトルを繰り返しようやくクロガネゲートと呼ばれる洞窟の前まで来た。入口は闇に覆われていて中がどうなっているか分からないけど、先生曰く真っ直ぐ進めばクロガネシティに着くとのこと。


「よ、よーし……」


懐中電灯を片手に洞窟に入ると、天井にぶら下がっていたコウモリらしきポケモンが光に驚き、鳴き声をあげながらこちらに飛んできた。


「ぎゃああああ無理いぃ!!!」


あれは、確かズバットだ。ギンガ団員も使ってたポケモン。尋常じゃない数のズバットにこちらも驚いてしまう。すっかり腰が引けてしまった私の頭にばちんといい音を立てて平たい何かが当たった。お得意碧雅のしっぽテールた。


『叫ばないでうるさい』
「だからといって尻尾で毎回叩くのはやめよう!脳細胞死んじゃうからね!」
『元から無いでしょ』
「ひ、ひどすぎる……」
『姉ちゃん大丈夫か?痛いの痛いのあの岩に飛んでけ〜!』
「紅眞……!お姉ちゃん嬉しくて涙でそう」


私への扱いがほぼ対極とも言っていい。紅眞ホント癒しになる。一人で洞窟を渡るのが怖くなったため2匹をボールから出したまま進むことにした。


「そういえば聞いてみたかったんだけど、擬人化ってどうやったら出来るようになったの?」
『んー……なりたいって思ったらすぐに出来たぞ?』
「え、そうなんだ!?条件とかは特にないんだね」
『中には苦手なヤツもいるけど、物心付けば大体のポケモンはできると思うよ。一応生きるための能力だし』


へえ〜……。
ほんと、ポケモンって奥が深いなあ……知れば知るほどワクワクするし、もっとたくさんのことを知りたいと思わされる。


『ていうか碧雅兄ちゃん、バトル強かったなー!俺とも今度バトルしてくれよ!』
『……面倒だから嫌だ。ジム戦できるんだしそこで思う存分戦ってきなよ』
『なんでだよー!俺は兄ちゃんと戦ってみたいんだって!』
『…………アイス作れるならやってもいい』
『任せろ!昨日食ったヤツとは別の味で作ってやる!』
『のった』


アイスで釣れるのか。それでいいのか碧雅。


「それにしても、紅眞は本当にバトル好きだよね。さっきもたくさん戦ってもらったし、疲れない?」
『全然!』


203番道路での勝負はほとんど紅眞が引き受けていた。「かそく」を活かしたスピード重視の戦いで、時間が経つ事に速くなるからこっちも目で追うのが大変だった。碧雅もかなり強い部類に入ると思うし、元々のレベルが高いのかな。

そうこうしているうちに出口の光が見えてきた。ここを抜ければ、クロガネシティ。胸がワクワクとした気持ちに包まれ、足は早く行こうと言わんばかりに走り出した。


「…………とうちゃーっく!」


外に出た途端、太陽の光が暗闇に慣れた目に降り掛かりその眩しさに目を瞑る。燦々とした空の下にはマサゴタウンやコトブキシティとも違う豊かな街があった。


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