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『俺、まだここにいたいんだ!』
「でも、ずっと野生のままだとまた追いかけられたりしちゃうよ?」
『それはやだけど、帰るのはもっとやだ!それなら俺姉ちゃんのポケモンになる!』
「ぅえ!?」


変な声が出た。それでいいのかアチャモよ。


『だって姉ちゃん優しいし、俺と話せるし!…………あり、なんで俺と話せるんだ姉ちゃん?』
「あ゛」


しまった!ナチュラルに会話してた。アチャモは今その違和感に気づいたらしく首をかしげてる。何でもっと早く気づかなかったの私のばか!良い言い訳も浮かぶわけなく、碧雅に助けを求めるように視線を向けても彼は素知らぬ顔でアイスを堪能している。くそう頑張れ私!


「私も、よくわかんないんだよね。気づいたら会話ができてて」
『へー……姉ちゃんすっげーな!』
「あはは……詳しくは言えないんだけど、私は旅で自分の帰る方法を探してるの」
『へ?迷子なのか?』
「ま、まあそんなところ!」


話せるのは私にも理由がわからないから適当に誤魔化したけど、すげーの一言で片付けられた。このアチャモはまだ子どもみたい。すごく純粋だ。とりあえずなんとかなって良かった。


「そのために、シンオウ地方の伝説のポケモンについて調べていこうと思っててね。まだまだ新米トレーナーだからちっとも強くもないんけど」
『伝説の、ポケモン……』
「うん、情報を集めようにもまずは強くならないといけないから、その点は私達合ってるのかもしれないね」


シンオウにはギンガ団っていう危険な組織もいるし、旅をするには彼らとの接触少なからずあると思うから、自衛にもなるしね。


「至らないところ沢山あると思うけど」


手をそっとアチャモに差し出す。


「それでも私と来てくれるっていうなら、仲間になろうよ」
『…………うん!よろしく姉ちゃん!』


嘴を手のひらにちょんとつけてくれた。仲間が増えた、やったね!

えーと、それじゃあまた名前を考えないと……。アチャモはほのおタイプだから……


「紅眞、とか」
『こうま?』
「うん!ほのおタイプだから紅で、ひたすら真っ直ぐな性格をしてるから眞で紅眞!ど、どう?」
『紅眞、紅眞……。うん!俺、その名前もらう!今日から紅眞な!姉ちゃんありがとう!』
「うんうんよろしく!私はユイだよ、よろしくね紅眞」


よーし!
空のモンスターボールを紅眞にコツンと当て、点滅が止まったのを確認して再びボールを高く投げる。光に包まれて出てきたのはちっちゃ可愛いアチャモ……


「よろしくな!ユイ姉ちゃん!」


ではなく、茶色の髪に真っ赤なチャイナ服を着た男の子が出てきた。君も擬人化するんかい!


「話は纏まった?」
「あ、碧雅。タイミング見計らって戻ってきたでしょ」


戻ってきた碧雅に仲間が増えたことを話し、更にやっと合流した博士たちに事情を説明したら何故かジュン君にライバル認定されてしまったのはまた別のお話。


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