全く気が利かないにも程がある、と南沢は思った。
 この目の前の後輩は、犬のように尻尾を振りながら、南沢さん南沢さん、と鬱陶しいくらいに引っ付いてくるというのに、自分がちょっと構ってやろうかと思うと、用事があるとか何とか言って自分の誘いを断るのだ。
 倉間のくせに、生意気なんだけど。

「それはお前の我儘だろう」

 なんて。暇になったからと三国に相談してみれば、そんなことを言われてしまい、全くもって面白くないと南沢は感じる。
 つまり南沢は、いつも引っ付いてくる後輩がいないと、何処か物足りないのだ。それを認めたくはないが故に、構ってやろうとしてんのに、と上から目線で物を言うものだから、それは三国にだって我儘だと言われるのは当然のことであろう。
 だけれど当の本人はそんなことに気づく筈もなく。俺のこと放っておくと浮気するぞ、なんて心にもないメールを倉間に送るのだ。南沢さんすんませんしたっ! と、頭を下げる後輩を想像して、南沢は少し満足げに微笑む。
 そんなメールを見た倉間が、慌てるどころかちょっと嬉しそうな表情をしていることに、倉間本人以外、勿論南沢ですら知らないのだけど。


確信犯で、ごめんなさい。
fin.
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短ッ。いや、たまには倉間に篤志を振り回してもらおうかとそう思っただけですすみません……










2011.12.08-  

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