甘えて欲しい頼って欲しい、先輩としてでなく、恋人として彼氏としてそう思うことが最近多々ある。
 あまりにも可愛くない後輩は、先ずは牽制をして憎まれ口を叩くだけでなく、人に頼ることすら学ばずにここまで来たのだろう、誰かとの衝突が絶えない奴だった。
 そう悲しいかなこんな関係になる前は、険悪と言っても過言ではないくらいに俺と狩屋はお互いいがみ合って周囲に多大なる迷惑をかけたこともあったのだ。まあそのことについては監督達の助言もあり、狩屋という人間を理解することも出来て、俺の中で湧き出た疑惑の方も何処かに置き忘れたみたいで、いつの間にか本当に気づいたら狩屋に惹かれていた自分がいた。
 一応、相思相愛と思っていいのだろう。何かと狩屋は霧野先輩、って俺の後をついてくるし。ああそれもサッカー部一の熱々カップルである南沢先輩と倉間のような、そんな感じ。否、ここまで言ってしまうと自惚れているだろうか。でも確かに俺と狩屋は相手のことが好きで付き合っているんだと断言することは出来る。
 それなのにいざとなると、狩屋って俺に何も言ってくれなくって。
 目付きがムカつくとかそんなことで上級生(俺にとっては同級生なんだけど)に絡まれたらしくて、何だよそういう時くらい先輩の出番だろ、なんて狩屋を叱ったら、先輩喧嘩なんて出来ないでしょ、と当たり前とでも言うように口にされて少し腹が立つ。
 何、それって俺が女みたいな容姿をしてて頼りないから、ってことなの。と、まあ被害妄想もいいところなんだけどそんな風に思ってしまうところもあったりして。
 俺の断りなく傷作るなよ、狩屋。ムスッとしていたであろう、そんな表情でまた最低なことを狩屋に吐き捨ててばちん、と平手打ちを喰らった。
 ヒリヒリする頬に我に返って、直ぐにごめんと謝って、叩かれた俺よりも泣きそうな顔をする狩屋の頭を撫でてやる。きりのせんぱいのばか、悔しそうにそう口にする狩屋を見て、ああそうか狩屋だって男なんだよな、なんて今更なことに気づく。
 そうだよ俺が男として狩屋に頼られたいのと一緒で、狩屋だって男として一人でどうにかしたい部分もあったんだ。そりゃあ確かに、全くと言ってもいい程頼らない後輩ではあるけれど。
 ごめん、許して狩屋。未だ膨れっ面の後輩に許しを請うと、じゃあキスして先輩、なんて生意気なことを口にする。こういうとこ、本当可愛くないと思うんだけど、どうやら俺はそんな狩屋が心底好きなようで思っていることとは裏腹に心臓はバクバク言ってるし、ああもう何て言うか、やっぱり狩屋って可愛いよ。自分でも何を言ってるのか判らなくなってくるけど、そんなことを考えながら狩屋にちゅ、と音を立てて軽く唇に触れたら、そんなんじゃ足りないと駄々を捏ねられた。ああ何だ、俺狩屋に甘えられてるじゃないか。


可愛くないけど凄く可愛い!
fin.
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蘭マサに手を出しちゃったぴゃあああああ
蘭マサ大好きです……南沢いなかったらほんと蘭マサトップですやべぇ。












2011.12.08-  

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