※兵頭倉間南沢が何故か部活帰り
兵頭さんと南沢がスカウトされたんだと思って下さると多少読みやすい…?







南沢は年上が好きだ。追いかけられるより追う方が性に合う、と思っている。プライドの高い南沢にとって、自分より低いものに縋るだとか頼るだとかは、とても考えられないことで。
単純な話、そこからきっと自分に見合う恋人は年上であろうと決め付けていた。



(だから俺はお前らを好きにはならない)

そんな南沢の思いとは裏腹に、後ろを無言で付いてくる二人。倉間と兵頭を横目で捉え、ふぅと気付かれないように溜め息を漏らした。

(…つもり、なんだけど)

そう、南沢は自分の好みに反して年下キラーだったのだ。
それに甘んじてしまう自分も居て、最近とても緩んでいるなと感じる。二人が自分を好きだと言ってから、踏み込ませない様にしていたのに。果たして三人並んで帰宅しているこの様は一体どういうことだろうか。

「南沢さん、喉渇きません?ジュース飲みましょーよ」

そんな南沢の気も知らず、倉間がくいくいと右の袖を引いて自販機を指差した。確かに部活後であるから、多少は喉が渇いているけれど。
ちらりと南沢は窺うように視線を左上に上げる、そこにはやはり想像した通りのしかめっ面があった。兵頭は首を横に振る。

「あの様なものはあまり体に良くない。断固として反対だ」
「てめーの意見は聞いてねえんだけど」
「お主のことも思って言っておるのだが?」

兵頭は考え方が古臭いから、恐らくこういう言葉が出るだろうとは思っていた。南沢はその声をジジイか、と一蹴することも出来たが、そこまで飢えている訳ではなかったので放っておくことにした。
その隙に目の前の後輩二人は喧嘩紛いの会話を発展させていく。

「体に良くない物を食べておるからそんな背丈なのだ」
「なっ!!」
「しっかり調整すれば自然、この様になる」

自分と倉間の間に手をスライドさせて、見せつけるようにその幅を披露する兵頭。測らなくても分かるだろうに、南沢は思わず吹き出してしまった。
南沢の反応が気に食わなかったのか、やられた事そのまま兵頭に腹を立てたのか、倉間は顔を真っ赤にして二人を睨み付けた。可愛い奴、くすりとその態度に微笑み、南沢は漸くフォローに回ってやる。

「俺も小さいけど、それも偏食が原因?」

小さい、の部分はほんのり濁して。
南沢のにやりと口角を上げた表情に慌てた兵頭は、いや、その、などと言葉を詰まらせてしまった。一方倉間は元気を取り戻し始めている。ニヤニヤとした良い笑顔だ。

「愛しの南沢さん侮辱してんぞ、良いのかよ?」
「うぐ、み、南沢はその小柄な所も魅力的と言うか…」
「それ、あんまり嬉しくねえな」
「っすまぬ!」

笑っているのだから、冗談だと気付くのが普通だろう。南沢にとって、兵頭のその態度は可愛がる部分でしかなかった。
先輩が後輩をからかうのは当たり前、そんな意識がある南沢は兵頭を見て機嫌が良くなる。軽く笑みを作り、気前よくポケットから財布を抜いた。
ピッタリに取り出された百円玉と十円玉を倉間に握らせて、ほら行ってこいと背中を押す。

「パシリっすか!」

失礼な奢ってやると言うのに。

倉間はぎゃんぎゃんといつまでも鳴いていた。ゆっくり帰って来て、その場で飲むのかと思えばスッと差し出される。

「どうぞ」

それは南沢が好きな炭酸飲料で、一体何処でリサーチしたのか。

「南沢さん見てたら、分かりますよ」

それぐらい、と何故か不機嫌に返されて、やはり呆気に取られるばかりだった。
キョトンとしていたのが開けられないと思われたのか、今度は兵頭がその手を差し出してきた。キャップをぎゅるん、と勢い良く回転させ、本体だけを南沢に渡す。
申し訳ない、それでも腑に落ちないが。そんな顔で眉を下げられていた。

「倉間と分けるのが良かろう。家に帰れば緑茶が用意されておるからな」

言ってることはやっぱり堅苦しいけれど、兵頭はただ優しいだけだった。
カリ、ペットボトルの口をかじって、ああ、と一言。
南沢は俯きながら思った。年下のくせに。顔がやけに熱いのがまた言い訳しにくい。

だから言ったように、自分は年上が好きなのだ。

言い聞かせて言い聞かせて、けれどこういう所作は、その掲げた文字をふにゃりと歪ませてしまう。
いや、そもそも。言い聞かせてって何だよ。

「帰りましょうか」
「そうだな、もう日も落ちてきておる」

倉間に手を引かれて、兵頭に肩を支えられる。口を付けていたペットボトル、その中身がぐらぐらと揺れて、口内にするりと入り込んだ。
冷たくてパチパチと弾ける泡。南沢は一度驚いた後、炭酸の効果かやけにすっきりした面持ちでそれを飲み込んだ。

「お前ら、」

のこと嫌いじゃないよ。

勢い良く飲み込んだ炭酸が全部消し去ってくれた。聞こえてなくて良かった、むしろ言ってしまって後悔した。
何だ二人が好きって、堂々二股宣言か。南沢は勿論そんなつもりは更々なく、ただ友人以上恋人未満という意味で吐き出した訳だが、自分で突っ込まなければ気恥ずかしさで爆発しそうだった。

ああ全く悔しい話だが、例えば目の前にポンと好みの彼が現れたとして、もう自分はこの二人しか要らないのだと切り捨てられるのだろう。それはもう簡単に。







end....



Miss Aかがり様より頂きました!
私の大好きな倉間と司に南沢を取り合って頂きましたほくほく!
倉間と司の喧嘩ほんと可愛いですよね可愛すぎる愛しい
そんでもって南沢がさーほんとさー何なんだこの可愛さ天使かよ><//
もう南沢二股でいいんじゃないアリだよアリ!
南沢なら許されry

本当、キリ番を踏んだ感動を今も忘れてません……長い間狙っていたキリ番を漸く踏むことが出来て転げ回ったもんな……!
本当に素敵な小説ありがとうございましたかがり様!
自分の趣味全開のリクすみませんでした、もう最高です///












2011.12.08-  

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