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※わりと病んでる系。
ただ俺は彼といたいだけだった。
一緒に起きて、おはようと言って、一緒にご飯を食べて、一緒に過ごして、おやすみと言って、一緒に寝る。そんな風に過ごしたかっただけなのだ。
それなのに向こうはそうでなかったらしい、別れの言葉はあまりにもあっさりとしていて、彼はもう俺と付き合っていたことすら忘れたように過ごしている。
生殺しとは、こういうことを言うんだろうか。だって今もまだ彼は俺と一つ屋根の下で暮らしているのだ。普通こうなった場合、どちらかが出て行くのがセオリーだろう。
一度だけ、どうしても我慢ならずに、そんな昔の先輩後輩だった関係のように出来るんすか、と問いたことがあった。
それに対して彼は、表情一つ変えずに、
「お前とは、もう終わったことだし」
そう口にしたのだ。
その時の衝撃といったら、まるで頭に重い石をぶつけられたような物だった(ぶつけられたことなんてないけども)。
彼のこんな行動、言動を見ていると、もしかしなくとも彼が一度でも俺を好いてくれたことはなかったのではないか、そう思わざるをえない。
いくら終わったと言えど、はい元通り、なんてどうやったって出来ないのに。
だってもう、俺は彼をただの先輩だなんて見ることが出来ないのだから。
俺にとっては恋い焦がれる程に愛しい人なのだ。
「南沢さん、」
誰もいない部屋で一人愛しい人の名前を呼ぶ。当然あの人の甘い響きが耳に届くことはない。
何処を見ても俺の中に、隣にまだ彼がいるのに。総て終わりにしたいなら、いっそのこと、俺の前から消えて欲しかった。
まるで真綿で首を絞められている、そんな感覚。
それでも自分から動けないのは、まだここにいてくれる彼に少しでも期待してるからなのだろうか。そんな甘い自分にもヘドが出る。
判らない、判らないんです。貴方は俺をどうしたいんですか。