※微裏程度


 あーあ、馬鹿だなあ無理しちゃって。素直になれば楽になれるというのに、性分なのか南沢さんは相変わらず辛そう眉を寄せて俯き耐えるだけで何も語らない。南沢さんって見た目の通りプライドが高いものだから、他人に頼ったりすがることを知らない。自分の中に総てをしまい込んで、何でも一人で解決しようとするから後々になって蓄積された物が爆発するのだ。それを判っている筈なのにそういったことには学習能力がないのか、はたまたただ許せないだけなのか(南沢さんの場合は後者な気もしなくはない)、同じことを何度も繰り返している。懲りない、とはこのことだろう。

「ほら、素直になったらどうです?」
「んっ……ゃ、だって、ぅあっ……言ってんっ、だろ」

 ああ意地張っちゃって。どうせ直ぐに崩れる理性なんか早々に手放してしまえばいいのに。正直、瞳に涙を浮かべてまで耐えている姿はたまらない。南沢さんを素直にさせたいからこそ、俺はどうしてほしいのか最中にしつこい程問うのだけれど、実際はただこの苦しく切なそうにしている南沢さんが見たいだけ。なんて口にしたら南沢さんに殴られるだろうか。
 南沢さんの下着に突っ込んだ手は、相変わらず軽く揉みしだいてみたり、指先で先端を弄ってみたり。くるりと輪を作ってそこを抜いてやれば、南沢さんは気持ちよさそうに、あん、と甘ったるい声を漏らした。くらま、イきそう。そう言われて俺は意地悪く下着から手を引っこ抜いてやれば、南沢さんが濡れた瞳を丸くして、何でと訴えかけてきた。

「ほら、どうしてほしいのか言って下さいよ」

 にやりと口の端を歪めてやれば、南沢さんは最低、と口にする。最低で結構。これでも南沢さんを想って南沢さんのためにしているのだ。言わないと止めますよ? そんな脅しの言葉をかければ、南沢さんは慌てたように俺の腕を掴んできてああ可愛いなあなんて俺はたまらず押し倒したくなるような衝動を必死に抑える。南沢さんはピンクに染まった頬を更に紅くしながら、熱い吐息をゆっくりと吐き出して、上目遺いで俺を見上げた。ああこの表情は、もう南沢さんの理性が崩れる一歩手前といったところだろう。あと一押し、俺が先を促してあげるときっと南沢さんは目の前の快楽に屈服して、プライドすらも吐き捨てて俺を求めるに違いない。そう思うと自分の下半身に熱が集中していくのがよく判った。


貴方を素直にさせるのは俺だけ
fin.
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倉間の優しいところを書きたかったのになあ。










2011.12.08-  



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