#44「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」
2013/09/07 15:38

最初から終わりまで、心を抉られるようでした。「よくうちのお母さんとケンカすると、あの人『素直じゃない』って言葉を使うんだけど、私はそれを言われるたびに『素直』って何だよってムカつく。私は私の心にきちんと『素直』なのに、お母さんの言う『素直』はあの人にとって都合のいい『素直』なの。思い通りにならないってことを、こっちの、責任にして怒るんだよ。」(本文より抜粋。登場人物、飯島政美の言葉。)ハッとしました。昔の私は確かにこんなふうに思っていた。だけれど母になり、今度は私が娘にこんなふうに思わせていないだろうかと。

上記のものは<母親と娘>ですが、それだけでなく、女同士のつまらない優越感、友情の線引き、嫉妬や妬み。など、嫌でも考えさせられることばかりでした。強烈な痛みと共にやってくる、嫌悪感。だけれど、「自分は違う」とは言い切れないものが、この本のなかにある。

私は<母親と娘>に焦点を置きがちでしたが、やっぱり、物語の根本は母親と娘の関係性なのだと思います。

人には理解し難い母親と娘の関係性でも、その愛を上手に生かせられなくても、間違いだとは思いたくない。どうして「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」なのか、納得です。そして逃げた理由も、やっぱり、愛情だったのだと。

お母さんに会いたいーー、その一言が、胸を強く捕まれて、しばらく痛かったです。




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