うたプリ | ナノ





空を見上げると、やけに綺麗な青空で何も言えなくなってしまった。僕の心は雨模様だというのに、神様という存在は僕を苦しめることが楽しいみたいだ。

僕が歩けば空も歩く。
僕が見上げれば空も太陽を見上げる。
だけど僕が立ち止まっても空は止まってくれない。

そう、止まってなんかくれるはずもないんだ。僕が消えたとしても、世界は回り続ける。だってそれが当たり前だから。僕らが母胎で育まれ、産まれて死ぬまで生きるように、空も毎日歩いていく。

今日は静かだ。
小鳥さんの挨拶も車が走る音も誰かが楽しげに話す声も聞こえない。怖くも感じるけど、ちょっぴり寂しい気もする。

横断歩道を渡って、たどり着いた場所は公園。小さい頃によく遊んだ遊具ばかりで、なんだか懐かしい。ブランコに座ってみたのはいいけど、身長が伸びてしまったから膝が曲がってしまう。ああ、変わったんだなぁ。そんなことで再確認。

音を鳴らしてブランコを揺らしてみる。段々揺れる力が大きくなって、空が近くなった気がする。気がするだけであって、本当は近づいてもいないんだけど。

だけど、動きが止まって大きく揺れてしまう。誰かに止められてしまったらしい。突然止められてしまったから、びっくりした。あの大きな反動だけは未だに慣れていないみたいで、ちょっとだけ嬉しくなった。

肩を掴まれる。
僕は見上げた。
汗を流して、心配そうに僕を見つめるさっちゃんが居て、僕は申し訳ない気持ちになった。

ごめんね。

僕は謝る。

だけどさっちゃんは答えない。
ただ険しい顔をして、口をパクパク動かすだけ。何を言ってるのかわからなくて、なぁに。そう聞いてみたら今度は絶望的な表情を浮かべて、泣きそうにくしゃりと顔を歪ませてしまった。ああ、また僕は悪いことをしてしまった。ごめんね。またそう言うけれど、さっちゃんは何も言わずに僕をキツく抱きしめた。

さっちゃんが泣く。
僕は抱きしめる。
空を見上げれば空は綺麗に動いていく。
それを見て僕は消えたくなった。