うたプリ | ナノ





「トモちゃん、トモちゃん!」

部屋に戻ってきたと思えばこんな感じでテンションが高い春歌にアタシは何事かと人気ファッション雑誌から目を外して其方へ向けると笑顔で目の前に差し出して来た。それはお内裏様とお雛様がいて、桜餅などが入っている和菓子。それを見て今日は雛祭りだということに気づいた。ああ、そう呟けば春歌は目を輝かせながら街で見かけて買っちゃいましたと弾んだ声で話すもんだから自然と笑っちゃう。ベットから腰を上げてお湯が入っている電動式ポットに手をかけると春歌はこれまた嬉しそうにお皿を準備する姿は、女の子らしくてあの7人のプリンスが放っておけないはずだと妙に納得しながら、アタシら女の子しか許されないこの日をプリンスから春歌を奪ってしまうんだ。そう思うとなんだか優越感が浮かび、ぶはっと勢いよく笑ってしまうのを春歌は不思議そうにする姿を見て更に笑ってしまうのだった。