うたプリ | ナノ





優しく頭を撫でてくる奴は誰だ、俺に触れてくる奴はそういない。ゆっくりと瞼を開ければ眩しい光と一緒に共鳴しているかのようなミルクティ色をした髪がふわふわに揺れている。優しく触れてくる手と一緒で優しい笑みを向けて来た目の前にいる奴を、俺は知っている。

「な、…つき…」

ゆっくりと手を伸ばせば握り返してくれる那月は俺の片割れで太陽の存在だ。10年経った今では俺がいなくても大丈夫なようだ、俺の手より少し大きく容姿も顔立ちも少し変わった那月は俺の知ってる那月だった。

「やっと、会えたね」

手を握ってくる力は痛くて顔を歪めたが不思議とそれが心地よかった。きっと那月だからだろう、俺は短く返事をして再び瞼を落とした。