うたプリ | ナノ




「トキヤ、トキヤ?俺ね、トキヤが好きなんだよ!特にお前が歌う時とかすっごく好き!」

明るく自然な笑みを浮かべる君は本当に汚れの知らない姿で私を見つめ、触れ、話し、壊そうとする。

「私は嫌いですよ」

「え、歌うことが?」

視線を本から音也へと向ければ眩しい程の赤い瞳と私の青い瞳がぶつかり合う。なんて、対照的な色なのだろう。

「あなたのことが嫌いです」

あなたと初めて会った時、あなたと初めて話した時、あなたが初めて歌った時から私はあなたが大嫌いだ。私とは違う濁りを知らないあなたは本物なんだとすぐにわかった。嫌にでもわかってしまった。あなたと一緒にいると、あなたと話していると、あなたと触れると、あなたの歌を聴くと醜い私は私じゃなくなってしまう。この感情を言葉で表すのなら、きっとこれは嫉妬と言うのでしょう。なんて醜く汚らしいんだろう、そう、私は醜くて汚い存在。だけど美しく清らかな存在になりたいと願ってしまう私を、あなたは理解もしないのでしょうね。今のあなたはとても傷ついた表情をしているから、わかろうともしてくれないのだろう。