僕は初めて恋をしました。その人は温かくて優しくて大きな手で僕を包んでくれる。大きな瞳は空色でとても綺麗、それはまるで大空をそのまま吸い込んだみたい。見つめ合うだけで心臓がドキドキして壊れてしまいそう。こんなのは初めてで、でもその人は僕にドキドキしないで違う人にドキドキしているみたい。完璧に一方通行なドキドキ。僕が1番大好きで止まない妹で銀河の妖精である砂月のことが好きなようです。やっぱり好きな人のことは分かってしまう、これが恋って言うんだと思うんだ。会話なんて無い、ただ考えが読み取れてしまった不思議なあの日。

「翔ちゃん、翔ちゃーんっ!」

キミに振り向いて欲しくて何度も何度も呪文みたいにキミの名前をリピートする。キミに近づく為に初めて周りの意見なんか聞かず悪いことだと分かって沢山のことをして急降下したのに全く知らんぷり。やっぱり気づいてくれない。ヴァルキリーに乗ってるのに翔ちゃんは砂月のことばかり聞いてくる。好きで嫌いになれなくて、憎らしかったから手の甲に爪を立てたのに、ただ痛いと怒ってくる。どうして伝わらないんだろう、どうして?この涙は伝わらないの?どうして伝わってくれないのだろう。

「僕と翔ちゃんはまるで花火みたいですねぇ」

「花火?」

宇宙からの帰り道、ヴァルキリーに乗って必死に涙を隠した。そう、僕らを例えるならば花火。打ち上げられる前は1つなのに打ち上がれば光となり離れて行く。ほら、僕らにピッタリです。どんなに必死に僕が手を伸ばしても届かない。貴方に近づきたくて急降下ばかりしたのにそれを気づかないまま急上昇し続ける翔ちゃんが憎くて仕方がない。

「翔ちゃん、僕は翔ちゃんのことが大好きです。例え貴方が砂月を好きだったとしても大好き」

腕を伸ばして首に手を回す。温もりを感じられないのはきっと神様に怒られているからです。砂月の幸せを僕が奪おうとしている、それはとても許されることなんかじゃないんです。

「ワリィ、俺は」

「僕は翔ちゃんとずっと傍に居たいッ」

一方通行だっていい、悲劇だって構わない、僕はただ翔ちゃんの隣に立って手を繋いで街中を歩くカップルみたいにデートをしたい。それ以上のことだって、なのに翔ちゃんは僕に振り向いて悲しそうに微笑んで来た。

「那月、ゴメンな」

翔ちゃんの親指が僕の目元を拭う。宇宙空間にいる為に浮かんでしまう涙に僕はただただ増やすことしか出来なかった。

Between stars Flight
(貴方を好きでいることがこんなにも許されないことなんて、)

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