「ただいまー…ん?」
学校から帰って来ると、毛布に包まる那月のシルエットが見えた。最近課題に追われた日々だったから、疲れがどっと来たのだろう。小さく笑みが浮かびながら毛布を掛けなおしてやろうと近寄った時だった。
「は…ぁ、っ…」
「那月…?」
違和感を感じた。
顔を覗き込むと汗をかいて苦しそうに息を乱す姿に驚いた。慌てて額に手を添えると、異常に熱く原因は熱だとすぐにわかる。
「っとに、何してんだ…!」
洗面器に水を溜めタオルを掴んでベッドの下に置く。それから冷えピタと昨日買って来ていたスポーツドリンクを取り出した。
眼鏡を外して、尋常な汗を水で濡らしたタオルで顔を拭いて額に冷えピタを貼っていると、長い睫毛を震わせながら薄く目が開いた。
「…チビ、か?」
「よ、タイミングが悪かったな。今日は大人しくしとけ」
那月に比べて低い声は普段と違い、弱々しく擦れていた。眉間に皺を作っているが余裕もないらしい。制服を脱がし体を拭いてパジャマを着せた。
「これ飲んで、温かくして寝ろ」
スポーツドリンクを渡すと素直に受け取る。きっと那月を思ってからの行動だろう。
「さて、と…洗濯物を畳んだりしなきゃな」
どっこいしょ、と何ともジジ臭いことを言いながら立ち上がった時だった。腕を掴まれた。
「砂月?」
「………」
掴んできた本人自身が驚いていたから俺は首を傾げてしまう。モゴモゴと口籠もらせて、だけど声に出さない砂月の言いたいことが分かって吹き出してしまった。ギロリと睨まれたが今ではちっとも怖くない。むしろ可愛さ倍増だ。
大きな手の平が熱くて、頬も負けないくらい熱かった。ベッド脇に座って頬を撫でると砂月は目を逸らす。
「んだよ、拗ねんなって」
「黙れ」
「あー…」
さっき笑ったのが意外にも不機嫌へと走ったらしい。自分より2つも歳上なはずが、どうしてこうも幼く見えるんだ。大体那月も砂月もどっこいどっこいなんだよなぁ…。
「砂月、今日はずっと傍に居るから、ちゃんと治そうぜ?」
額に口付けると猫のように手の平へと擦り寄る砂月に笑みが浮かぶ。素直だとこんなに可愛いんだけどなぁ…そう思いながら撫でていると、小さく名前を呼ばれた。
「あ?」
滅多に呼ばれることはない。凝視していると砂月にしては珍しく素直にお強請りをしてきた。それは本当にか細くて、耳まで赤く染まる愛らしい恋人に俺は毒されているのを感じ、口元緩めてしまいながら唇にキスをするのだった。
遅くなってしまい大変申し訳ありません!キリリクで翔砂の、酷い熱で倒れて、うなされたりとかしてるさっちゃんを看病する翔ちゃんとのことでしたが…どうでしょうか?あまり可愛らしいさっちゃんが書けなく。・゜・(ノД`)・゜・。
今回はリクエストありがとうございました!パインさんだけお持ち帰り可能です。