「もっと笑って。緊張しなくてもいいからねー」

カメラマンさんの一言に翔ちゃんは一瞬表情を引きつらせた後すぐ可愛らしい笑顔に変わった。スタジオ内にいる誰もが翔ちゃんの変わり様に目を奪われています。翔ちゃんは夏休み中、唯ちゃんとして活躍していたから撮影には慣れているみたい。ポーズを指定されたらそれをいとも簡単にこなす姿は本当にモデルさんで翔ちゃんはほんと凄い人なんだと思ったんです、それに比べて僕は…。


「キリもいいんで今から1時間の休憩を挟みまーす、2人は初めての撮影だからゆっくり体を休めてくれ」

ディレクターさんの声を聞いて我に返ると翔ちゃんが代わりに返事をしてくれて僕の手を引いてくれる。僕より小さな手が僕の大きな手を掴み控え室へと向かう。小さな背中、僕と比べると全然違う。やっぱり僕、こんな可愛い服は似合わないなぁ…断然翔ちゃんの方が似合う。

「那月?そんなところに突っ立ってないで休もうぜ」

「えっ…ああ、そうだね」

椅子に座ると緊張していたせいもあって一気に力が抜けて息を吐くと翔ちゃんがペットボトルのキャップを開けて僕に渡してくれた。首を傾げて見ていると翔ちゃんは「お前のだよ」と言って僕の手に握らせる。ああ、小さい手…

「…那月?」

「小さい手、僕と違う」

ペットボトルをテーブルに置いて翔ちゃんの手に触れじっくりと眺める。空手をしていたらしいから女の子のように細くてすべすべな手じゃないけど、僕に比べたらゴツゴツしていなくて細く小さい翔ちゃんの手。すると翔ちゃんの手が僕のほっぺたに触れた、少し温かくてきもちいい。

「どうした、何かイヤなことでもあったか?」

お人形さんみたいな大きい空色の瞳が僕を見つめてくる。金髪のウィッグは普段より倍以上ある長さ、ゆるやかなウェーブがかかっていて可愛らしい。僕以上に、可愛くてとても愛らしいのに。

「…僕、可愛くないから女の子の格好をしても浮いちゃうなぁって…」

鏡に映る僕は可愛くもなく美しくもない。ガタイも良くて身長も高い…全てにおいて女の子のような柔らかくてふわふわとした可愛らしいモノが存在していない、とても醜い生き物だと思う。本当はこんなお仕事なんて嫌だけど、早乙女せんせぇがせっかく与えてくださった初めてのお仕事だから最後まで頑張らないといけません。でも、こんな可愛くない姿なんて正直に言えば可愛い翔ちゃんに見せたくない。だって、翔ちゃんみたいに可愛くないし…大切な人の前では可愛い姿で在りたいと言うのに…。

するとほっぺたを触っていた手が顎に移動して上を向けさせられた。チュッと唇にキスをされてビックリしているとウィッグに触れられる。愛おしそうに触るそれに戸惑ってると翔ちゃんが頭を撫でてくれた。

「お前は元から可愛いんだよ、お前が気づいてないだけで俺はお前が可愛いことをお前以上に知ってる」

「で、も…僕本当に可愛くない」

否定して虚しくなった。
どうして僕は可愛くないんだろう…、考えても考えてもたどり着かない答えに僕は泣きそうになって次に浮かび上がるのはいつか翔ちゃんから別れ話を切り出されるんじゃないかと言う恐怖が混じった不安。怖くてこわくて、僕はいつの間にか涙を流していて目の前に立っている翔ちゃんはビックリしていました。

「な、なな那月!?どこか痛むのか、それともやっぱ嫌なことでも…っ」

「翔ちゃん、翔ちゃん翔ちゃん翔ちゃん…!」

腕を伸ばして翔ちゃんにキツく抱きついた。翔ちゃん僕を嫌いにならないで、僕よりも可愛い子のところに行かないで、僕を1人にしないで…。頭がごちゃごちゃしてもう何がなんだかわかんない、ぐずぐず泣いていたら翔ちゃんに無理矢理離された。ああ、嫌われてしまいました。そう思っていたら唇を奪われ、て、……へ?突然すぎて頭がついて来ないでいると口の中に舌がヌルリと入れられて、それが深くて気持ち良いキスだとわかった瞬間にはもう涙なんて引いていました。

「しょ、ちゃ…?」

ソファーに押し倒されて上に跨る翔ちゃんは可愛い唯ちゃんじゃなかった。頬を舌で舐められそのまま首筋へと這う舌特有の感触に自然と声が漏れる。翔ちゃんは服の中に手を入れて…いわゆる愛撫をし始めるものだから僕は慌てて腕を掴むのに動きは止めてくれない。

「翔ちゃ、まっ…てェ…」

「待たない」

「あッ!」

爪を立てられて甘い声がでちゃいました。慌てて手で口を押さえても、翔ちゃんにはしっかり聞こえていたみたい。口元を上げ手をスカートの中に入れられて下着に手を入れられる。ぞわり、体中鳥肌がたち腰が重くなってしまった。翔ちゃんは洋服を汚さないようにと気を配りながら僕のを舐めたり刺激を与えてくれて、もう僕はお仕事中とかお洋服とか頭の中に入ってなくてただ声を出すだけ。

「ふ、ぅ…!」

ちらりと翔ちゃんを見ると僕のが大きくなってしまった。何故なら視線の先にはあの可愛らしい唯ちゃんが僕のを口にしているからです。深々と咥えてはグリグリと先端を指で弄られひっきりなしに声が漏れてしまう。フと目が合ってしまった、ペロリと真っ赤な舌を尖らせて見せびらかす様に完全に上を向いているソレを舐める、唯ちゃんの姿をしている翔ちゃんの行為に顔が熱くなって恥ずかしくて涙が溢れてしまいます。

「っ―…!?」

顔を腕で隠していたから気づかなかった、いつのまにか僕の中に翔ちゃんの指が入って来ている。細くて、でも男の子らしいゴツゴツとした指で翔ちゃんが挿入できるようにほぐして行くのを自然と拒みキツく締め付けてしまい指の形がイヤというくらい感じてしまう。

「お前は、自分のことを可愛くないとか言ってるけど」

「ンンッ…」

ヌルリと指を抜かれて意識が朦朧としている中、翔ちゃんが先ほどまで入れていた手を舐める姿はとてもエッチです。そのあと顔を近付けて来て唇にキスをしてくれた。背中に腕を回して嬉しく感じていたのもつかの間、下半身に鋭い痛みがしてその原因がなんなのかすぐにわかった。熱くて硬く指とは比べものにならない翔ちゃんのがゆっくりと僕の中を満たして行く…。はぁッ、と熱い吐息を漏らした翔ちゃんはゆるりと腰を動かしながら労るように何度もキスをして、愛撫を施されて行く。痛みが段々なくなって声が出始めた其れは普段の僕では考えられない甘い声。

「女みたいな性格で趣味も可愛いもんばっかりで」

「ひっ…」

翔ちゃんのが僕の中に入る浅い場所で入って来ては戻ってを繰り返しぐるりと円を描くように腰を回されるのがとても気持ち良い。

「俺が持ってない物をすべて持っている天才で」

「ふァッ!?」

突然奥へ突き上げられてゾワゾワと稲妻が落ちたように強い刺激が襲われた。足を肩に担がれ翔ちゃんの顔が近づきます。お互いの吐息がぶつかり合い翔ちゃんの瞳に吸い込まれてしまいそう。

「なのに嫉妬深くて弱く脆いけど強くなろうとする、そんなお前を俺は好きだ。そして支えてやりたい」

「翔ひゃっ、ンンッ」

唇を塞がれ熱く情熱的なキスをされ激しく奥を突かれてしまう。あまりの気持ち良さに我慢ができなくてイッてしまうと締め付けてしまい翔ちゃんが眉を寄せて低い声を出すと中に出されたんだとわかりました。お洋服は汚れていないみたい、頭が朦朧とする中で翔ちゃんが汗を流し息を乱しながら優しく微笑んでくれる。ドキドキしちゃっていると額にキスをされました。

「好きだ、那月」

「ぼ、くも翔ちゃんのことが大好きです!」

嬉しくて涙を流していると翔ちゃんが頬を赤く染めながら眩しいくらいの笑顔を向けて来てくれた。

「やっぱお前可愛い!」

さっきの言葉だけで幸せだと言うのに翔ちゃんは僕を幸せという愛で溺れさせるつもりのようです。だから僕も翔ちゃんに幸せという愛で手を差し伸べるんです。

「翔ちゃんは格好いい、僕だけの王子様ですっ」


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