そばにいるよ / 鳴上 悠 (名前変換無)
『悠…。』
そっと名前を呼ぶと、彼はゆっくりと俯いていた顔を上げた。
真っ赤に充血したその瞳と、握りすぎで白くなっている拳が何とも痛々しかった。
「…俺、守れなかったんだ。菜々子を…!助けるって言ったのに…。」
涙が混じるその声に私は、微笑みかけた。
『悠は悪くない。私たちにとって最善の策をとったのよ?それに、まだ諦めるのは早いんじゃない?』
固い拳を優しく包み込む。
そう、今菜々子ちゃんは頑張っている。
私たちが諦めるわけにはいかないのだ。
すると、彼はすがりつくようにして私の首筋に顔を埋めた。
「…ごめん。そうだよな。俺たちにできること、まだあるよな?」
『もちろん。』
「…うん。もう少しだけ、このままでいいか?」
『…もちろん。』
先の言葉より優しく響いた声が彼の涙を誘った。
背中にそっと腕を回すと、抱き締められる力が少し強まった。
どんな辛いことがあっても、あなたは一人じゃないから。
私が、あなたを支えるから。
フワフワの灰色の髪をそっと撫でながら、私も瞳を閉じた。
そばにいるよ(だから、いつでも私を頼って)
(私があなたの癒しとなるから)
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♭お題:)ひよこ屋
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