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林間学校から数日経ったある日のこと。

町は事件とはまた別のことで世間から注目を浴びていた。商店街のある一角は連日人で溢れていて、その原因となった彼女は今やこの町の“時の人”だ。


そんな彼女ーーアイドル、久慈川りせはカーテンの隙間から外の人混みを眺めて重い溜め息をついた。


まだこっちに越してきたばっかりなのに、もうこんなに人が…。お店の手伝い、できないかも…。


肩にズンと何かがのしかかったような気がした。気分がどんどん暗くなっていく。

蹲って膝の間に顔を埋める。


何をしてるんだろう…。





「おばーちゃーん!!」


そんな時、唐突に階下から声が響いてきて弾かれるように顔を上げた。
無邪気に笑う声は店番をしていたであろう祖母に向けられていて、祖母もまた楽しげに会話をしている声が聞こえる。

声からして女の子ということもあり、りせは釣られるように自然と足を運んでいた。


店先を廊下からそっと覗くと、お茶をすすりながら仲良く語らう二人の影。

今日は学校でどんなことがあった、こんなことをした、友達がこう言った、まるで孫が語りかけているようで、とても不思議な光景だった。

気づいたら自然と足は動いていた。



「おや、りせ。」

こちらに気づいて穏やかに名前を呼ぶ祖母の隣には、猫耳フードがピョコピョコと揺れていた。

「ん〜?りせ、ちゃん?」

「…えっと、その子、だれ?」







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