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翌朝、波乱の林間学校はなんとか誰も停学者を出さずに終わり、現地解散となった。
「よっしゃー!んじゃ、皆行こうぜ!」
「行くってどこへ?」
「決まってんだろ!!」
そんな一言で現在一行は滝が流れ込むこの山唯一のお楽しみポイントへと来ていた。
辺りには人の姿は見えず、貸切状態だ。
「うわー!夏って感じー!!」
ピョンピョンと嬉しそうに跳ねるのは勿論あずみだけ。
「着替えないから足だけパチャパチャしようかなー!ね、千枝!雪子!」
「ん〜、そうだね。水着持って来てないしね!」
千枝のその発言に陽介の瞳の奥がキラリと不気味に輝いた。
「水着あったら思いっきり水遊びできたのか?」
「え?…あ、いやまあ…水着があったらね!残念だなー!」
「ほ、ほんと残念…。」
訝しみながらも千枝と雪子が引きつった笑みを浮かべると、陽介は後ろ手に隠していたものをニヤリと笑って突き出したのだった。
「え、マジで…?」
そう呟いたのは陽介で、完二も悠も声を出せずにいた。
嫌がる女子組を言葉巧みに説得し、いや、この場合は脅しともとれるのだが、そんなこんなで水着を着せることに成功したのだが思った以上の光景に思わず生唾を飲み込んだ。
草むらの影から恥ずかしそうに出てきた千枝は元気なビタミンカラーのビキニで。
続いて出てきた雪子は白と赤の女の子らしい、これまたビキニ。
そして、最後にコソコソと後ろに隠れるようにして出てきたあずみは、マリン柄のボーダーのビキニだった。
三人ともスタイルがいいのだろうとは思っていた。思っていたのだけれど…。
「これほどとは!」
「…着痩せするんだな。」
三人の視線は真っ直ぐあずみの胸へと注がれていた。
幼く見える故にノーマークだったのだが、そのビキニからはしっかりと谷間が覗いていた。
恥ずかしがって縮こまっているから、余計に寄せられてその存在を大きく主張していた。
「おおう…。」
「ち、千枝…。ゆ、雪子…。」
集まる男子組の視線にいよいよ涙目になってきたあずみは、顔を真っ赤にして今にも涙が零れ落ちそうだった。
「ほんと、あんた達サイッテー。」
「千枝、やっちゃお。」
ドボーン!!!!
そして、二人の手によって制裁が下されたのであった。
「いや、俺はあずみのまた意外な一面が見れただけでいいんだ。」
「なあ、鳴上。お前ほんとに今回の林間学校マジでキャラおかしいぜ。」
「先輩、マジ引くっす…。」
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