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「で、こっちのテントに来た、と。」


あの後、テントに突然入ってきたのは完二だった。咄嗟のことだったが、確かに千枝の華麗なる蹴り技と雪子の強烈なビンタがヒットしたのをあずみは見ていた。

彼は今、大谷さんと一つ屋根の下、もとい一つのテントの下で熟睡中だ。


そんな中、三人がそこで寝れる筈もなくこうして男子側のテントへ避難してきたわけだ。


「みーちゃんが悪いの。」

「そ、そう。とにかくもう出れないし、朝、人が起き出す前に出てくから、それでいいでしょ!?」


「まあ、そうするしかないな。あずみ、眠たいんじゃないか?」


雪子の隣に体育座りするあずみはもう既に船をこぎ始めている。それを見た悠はポンポンと隣の布団を叩くと、あずみは大人しくそこにコロンと転がった。

「え、何その慣れてる感。なんかすげーやらしいんですけど!」

興奮する陽介を尻目に悠は隣へ寝転ぼうとするが、それは雪子が許さなかった。

「鳴上くん。怒るよ?」

「言っとっけど…“妙なこと”しないでよね。」



「…冗談だ。」

「鳴上、さすがにそれはどうかと思うぜ。」

「くっ…。」






テント内には当然、荷物でバリケードが作られたのだった。





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