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そして、夕暮れ時…。


「うへ〜、ゴミ拾い、キツかった〜…。あー、腹へった。」

そこかしこから漂ういい匂い。
ベンチに座りながら項垂れる陽介は、ヒクヒクと鼻を動かして顔をにやけさせた。

この時間は各班に別れて夕食作りが行われていて、特別捜査隊のメンツは女子にそれを任せていた。

にやけ顔の陽介はどうやら女子の手料理というものに憧れを持っているらしく、やたらと心を弾ませている。

それとは反対に悠はどんよりと暗い影をまとってそこに座っていた。

「俺の分もやるよ…。」

「ん?なんで遠慮すんの?俺、そこまで食い意地張ってねーって。」

「いや、だって…。あずみの手料理じゃないじゃないか!!!」

そうやって悠が半狂乱的に立ち上がって力強く指を指す班を見やり、陽介は苦笑を漏らした。

「お前、ほんと橘には甘いな。しょうがねぇじゃねぇか。引き抜かれちまったんだから。」


あずみは一人暮らし経験もあった為、実はできなさそうに見えて料理もできるらしい。普段、一緒に暮らしていて自分が炊事担当だからか、その事をつい最近まで知らなかった。

まあ、要するにあずみは炊事担当を余所の班に頼み込まれてしまい、断りきれなかったのだ。





じとりと視線をやれば、その班は今まさにカレーが出来上がったらしく大きな歓声があがっていた。

オーソドックスなカレーの筈なのに、とてつもなく美味しそうに見えるのはどうしてだろう。
同じ班の男子がとても憎たらしい。



「普通のカレーだよー。特別美味しいわけじゃないよ〜?」

それでも褒められて少し照れ臭そうにするあずみが、なんだかとても嬉しそうだった。

めっちゃ可愛い。


「なあ、鳴上。心の声、全部漏れてるぜ…。」

「おっと。」




そうこうしている間にこちらの班のカレーも出来上がったらしい。

「お、来た来た!」


陽介は声を弾ませ、運ばれて来た目の前のカレーに勢い良くスプーンを入れた。


これが悪夢の始まりだった。







「あんじゃこりゃああああ!!!」





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