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「うっ…ぐすっ…。」

一人の少女が、公園の隅っこで泣いていた。

「…どうしたの?」

「…ひとりぼっちなの。ひとりぼっちで、怖いの…。」

「ひとりぼっち?」

「そう、ひとりぼっち。」

「じゃあコレあげるよ!」

「…コレ、なあに?」

「ウサギさん!」

「ウサギさん?ブタさんじゃなくて?」

「ウ、ウサギさんだってば!」

「嘘だぁ…。ブタさんだよ。」

「ち、違うよ!おれが作ったんだからウサギさんなの!」

「え!君が作ったの!?すごーい!!」

「コレがあれば、さみしくないでしょ?」

「うん…。ありがとう!大切にするね!」





それは小さい頃の思い出。
あの時、私を救ってくれたのは確かにあの小さな編みぐるみだった。



「でも、これどう見たってやっぱりブタさんだよね〜。」

あの時の公園のベンチに深く腰掛けながらあずみは編みぐるみを眼前にかざした。

少し歪なウサギさんは年月の経過とともに薄汚れてしまい、もう以前のような真っ白な体ではない。けれど、ほつれてしまった所はその度に補修がなされていた様で大切にされている跡が見えた。


そろそろ、また補修してもらわなきゃ…


あずみはそんなことを考えながら、今にも目ん玉がポロリと落ちてしまいそうなウサギさんをポケットにしまった。





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