page.4
翌日。
「えー、それでは稲羽市連続誘拐殺人事件、特別捜査会議を始めます。」
ジュネスのフードコート。
お決まりの席についた皆を見渡しながら陽介は言った。
「ながっ!」
「ん〜、なんか漢字ばっかだねぇ…。」
予想通りのリアクションを返すあずみと千枝。
それに比べて雪子は少しだけ声を弾ませて言った。
「あ、じゃあここは、特別捜査本部?」
「お〜、それそれ!天城、上手いこと言うな。」
「な、なんかかっこいぃ〜!」
ちょっとかっこいいその響きに皆の表情が緩む。でも、今はそんなことをしている場合ではなかった。
いち早く表情を引き締めたのは陽介だった。
「つーわけで、昨日の夜だけど…。」
そうして会議は始まった。
「つか、映ったあの男の子、どっかで見た気すんだよねー…。それも、つい最近…。」
会議も終盤に差し掛かった頃、そう漏らしたのは千枝だった。
「…そ、それだー!!!!!」
ガタンガタン!!
「どうした、橘!」
千枝の言葉に慌てて大きな反応を返したのは、あずみだった。
勢い良く立ち過ぎて椅子が吹っ飛び、机のペットボトルが揺れた。
「思い出したの!どっかで見たことあるって思ってたの!立ち姿とか、雰囲気とか!」
「あの、あずみさん?ちょ、ちょっと落ち着いて…」
「あれは、みーちゃんだよ!みーちゃん!ぜーったいみーちゃん!!」
「いや、誰だよ!!!!」
結局、あずみの言うみーちゃんなるものは誰かわからず、その場はそこでお開きとなったのだった。
「ん〜、なんで皆わかんないかなぁ。」
「…いや、うん。とりあえず今日のマヨナカテレビにかけるわ…。」
[ 44/61 ][*prev] [next#]