page.2

幼馴染みである千枝と雪子は、あずみの性格や身の上を知っているからこそ、悠の言葉が正しいことを感じていた。

黙って頷いた二人に悠は緩く微笑んでから、話を当初に戻した。


「あずみがテレビの中に落ちたのは、誰かに突き落とされた、とかじゃないらしい。ただ売り場のケーブルに躓いた拍子に入り込んだんだそうだ。」

「じゃあ、あずみはこの事件とは直接関係ないってこと?」

「…もしかして、天城の事件で終わりなのか?」


陽介はそう言うが、俺としてはまだ事件が解決したとは到底思えない。


結論的に"雨の日はテレビをチェックする"ということになり、そこから話はだんだんと脱線していった。




賑やかに喧嘩をする千枝と陽介は勢い収まることなく、言い合い続けている。

雪子も帰ってしまった以上、もはやこの二人を止めるのは無理だ。というか、めんどくさい。



よし、帰ろう。



思い立ったら即行動だ。


悠は鞄を片手に立ち上がった。

すると、千枝が気付いたようで声をかけてきた。

「あれ?帰んの?」

「あぁ、あずみが菜々子と待ってるからな。」

何食わぬ顔でそう答える。

すると、二人の驚愕の声が教室内に響き渡った。


「ちょ、どういう意味だよ相棒!?確かに気を失った橘をおまえん家に連れてったけど…。相棒は"目が覚めた後に家に送る"って言ってたよな!?俺には今、"あずみは俺ん家にいますー"ってな風に聞こえたんだけど!?」

「うんうん!聞こえた!」


「その通りだけど?」

「「マジでー!?」」


再び驚愕して固まった二人にニヤリと笑いかけ、悠は動けぬ二人を置いて一人で帰っていった。


[ 34/61 ]

[*prev] [next#]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -