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「俺もいるっての。」

「クマもいるクマよ!」

続いて聞こえた二つの声にあずみは再び目を大きく見開いた。


「はなむ〜…と、誰?」

「く、クマはクマだクマよ!?」


見たこともない生物といる筈のない人物達に、信じられない、とかぶりを振る少女の後ろで金色の瞳をもつもう一人の少女が表情を険しくさせた。


それにいち早く気付いた悠が、クマと名乗る生物を華麗にスルーしてこちらに一歩歩み寄ってきた。


「詳しい話は後で話す。それよりも、あずみ…。帰ろう?」

「菜々子ちゃんも心配してっぞ?」


そっと差し伸べられた手は、まっすぐにあずみへと向けられていた。


「で、でも…。」


彼等は先程の話を聞いてしまったのだろうか。

だとしたら、私の身の上も知ってしまったはず…。

それなのに差し伸べられたこの手は、私を拒絶していない。


この手は私を、受け入れてくれる…?



戸惑いながらも少しずつあずみの手は伸ばされ、後もう少しで手が届くという所でそれは妨害されてしまった。


力強く引き戻される体は、そのまま後ろへと倒れこんだ。

「うあっ!…お、ねぇちゃ?」

倒れこんだ姿勢のまま自分を引き戻した人物を見上げると、あずみはあまりの光景に言葉を失った。

ちとせの周りをゆらゆらと何かが覆い始め、瞳の金色は更に濃くなっていく。


「だめ…。渡さない!この子は渡さない!!あずみは私とここで暮らすの!邪魔を…邪魔をしないでぇぇ!!!」


ちとせが叫んだ瞬間、その姿は金色の炎に包まれ一瞬のうちに九尾の巨大な狐へと変わっていた。


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