page.2
切なくて、切なくて、
どうしようもなかった。
「おねぇちゃ…。」
「あずみ、お願い…」
お姉ちゃんが、そんなことを思っていたなんて知らなかった。
二重人格となってしまったお姉ちゃんを、私は誰にも知られたくないとまで思っていたのに…。
お姉ちゃんは、こんなことを思っていたんだ…。
このまま、ここで二人で暮らしたら誰にも嫌われないのかな?
だったら、私…
すっと息を吐いて、あずみはちとせの金色の瞳を見つめ口を開いた。
「私…、お姉ちゃんとこのまま…」
「はい、そこまで。」
だが、あずみが言い終わる前にその言葉は別の声によって遮られた。
まさか、ここで聞くと思っていなかった声に驚き、あずみは恐る恐る振り返る。
そこには、灰色の柔らかい髪を揺らした彼が扉を開け放したままの格好で、そこに立っていた。
「な、なんで…なるちゃんが?」
[ 28/61 ][*prev] [next#]