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「ふふ、びっくりした…?」
クスクスと笑うその人物は、黄金に輝く瞳を細めながら嬉しそうにあずみに歩み寄ってくる。
その姿に思わずあずみは目を見開いて、後退りをした。
見間違えるはずがない。
あれは、確かに私のお姉ちゃん…。
でも、なんで…?
お姉ちゃんはあの日、
死んだはずなのに…。
「…死んだはずなのに、そんな顔してる。」
正に今思っていたことを言い当てられ、心臓がどくりと跳ねた。
するとそれに気付いたかのように、少女は無邪気な笑みを浮かべて笑った。
「確かに私は死んでるよ?でも、私はあずみの中で生き続けてきた。…あずみが独りぼっちにならないように…。あずみが寂しい思いをしないように…。そんな私にね、この世界が力を貸してくれたの!」
嬉嬉として話す少女のある言葉にあずみは視線を床へと落とした。
そう。
これが私の秘密…。
私の体には、6年前に死んだお姉ちゃんの魂が止どまり続けていて、二重人格となっているのだ。
橘ちとせ…
私のお姉ちゃんであり…
もう一人の私…
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