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重たい頭をゆっくりと持ち上げて、横たわっていた体制から立ち上がる。
薄暗い部屋の中、周りをキョロキョロと見回してみても視界に移るものは何一つなかった。
「誰か…。誰もいないの?」
小さく頼りない声は暗闇に呑まれていくだけだった。
何がどうなって、こんなことになっているのか…。
考えてみても、混乱する頭ではよくわからない…。
ただ言えることは、独りぼっちだということだけ。
「やだ…やだやだやだ!」
自覚した途端にぞくりと背中を何かが這い上がり、恐怖が脳内を支配していく。
部屋の中を逃げるように走って、扉らしきものに祈る気持ちで飛び付いた。
しかし扉は全く開く様子がなかった。
「あ、かない?…どうして!?開いてよぉ!お願い!」
強く扉を叩いてみても、手の平が痛みをもつだけで開きはしなかった。
「…あずみ。」
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