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最近になってマヨナカテレビの噂を頻繁に聞くようになった。

前まではこんなことなかったのになぁ…


そんなことをぼーっと考えながらあずみは机に突っ伏した。


そしてすぐに何かを思い出したように顔を上げて教室中を見渡した。

「雪子、今日もいない…。」

雪子の姿が3日前から全く見えないのだ。

失踪した、などという噂も飛び交っている。

千枝なら何か知っているかも、と考えて尋ねてみたこともある。

しかし彼女は、明らかに挙動不審になりながらこう言った。

「だ、大丈夫!!ちょっと理由があってね!…あずみは心配しないで!」


いくら天然のあずみでも、嘘だとはっきりわかった。

だが、それを口にすることはしなかった。

「ん、わかったー。」

ほっ、と安心する千枝の姿とは反対にあずみは表情に暗い影を落としていた。


「…ひーま。」

ポツリと呟いてみても、誰も反応を返してくれない。

雪子がいない中、唯一の救いである千枝は鳴上と花村と三人でコソコソとつるんでいるからだ。

結果的に一人になってしまうあずみは、ネコ耳フードを深く被り直して再び机に突っ伏した。













放課後─…


千枝たちは今日も用事があるらしい。

最近の日常になりつつある一人での下校は、やはり物寂しいものだった。




空が夕焼け色に染まる中、あずみは鮫川付近を歩いていた。



「あれ?君…」

そのとき、後ろから話し掛けてきたのはスーツを着た猫背の男だった。

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