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「…橘ってなんかすげぇな。」
花村は泣きやんだ後、恥ずかしそうに笑った。
「ん〜、私べつになんもすごくない。」
「いや、俺は助かった。…ありがとな。…じゃ、じゃあ俺行くわ!ちょっとやらなきゃいけねぇこと思い出したから!」
花村は照れくさそうに笑って礼を言うと、先程の行為を思い出したのか顔を赤くして走って行ってしまった。
「むむ?…なんか恥ずかしいことしたっけ?」
首を傾げるあずみはうんうんと唸りながら、自分も帰ろうと体育館を後にした。
走り去って行った花村は何をしでかそうとしているのか…。
あずみは少しの不安を覚えたが、気にしてもしょうがないという考えにいたり、その不安を打ち消したのだった。
物語は静かに、でも確実に、周りを巻き込みながら動き始めていた。
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