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こんにちは、私、雪片七恵といいます。
このお話の主人公です。
主人公のくせに挨拶が遅いということには、ノータッチでお願いします…。
現在私は食堂で死亡中です。えぇ、死亡中なんです。
だから…だから!
「お願いだからそっとしといてくださーい!!」
突然の七恵の大声に周囲に群がっていた人々はビクリと肩を跳ねさせた。
七恵は関東図書隊の二大アイドルの片割れだ。
もう片方は親友の柴崎を指すのだが、柴崎は身近な人間以外に心を許すことがなく話しかけても営業用の顔で接せられるので、どうしても裏表のない七恵は人に囲まれてしまうのだ。
今日は一段と落ち込んでいるのだ!だから今日はそっとしといてほしいのだ!
うがー!!と怒る七恵を見て、周りはまたほんわかと和む。
何をしても小動物のように可愛い七恵は怒る姿も可愛かった。
「雪片さんは可愛いねぇ。」
不意に頭を撫でられ、七恵はキッと頭上を睨み付けた。
「可愛くありません!今は怒ってるんですから!」
「それは誰にだい?」
「みんなに!です!」
そう言うと、やっと七恵が本気で怒ってることに気づいたらしく人々が一斉に散り始めた。
はぁ、と一息ついてからまだ頭に乗ったままの手を見上げた。
「小牧さんも!今はそっとしておいてください!」
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