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「…お前には関係ない。」
「えぇー!私は七恵の親友ですよ!?」
「だから何だ!」
「え…いや、親友として知っておきたいし…。」
尻すぼみに小さくなっていく声に堂上は溜め息をつくと、もう一度先ほどと同じセリフを吐いた。
「お前には関係ない。わかったらさっさと宿舎へ戻れ!」
そう言い残し、堂上は早々に男子寮へと引き上げていった。
雪片をどう思っているか…。
そんなの自分が一番知りたい。
自分でさえ把握していない気持ちを他人に伝えるのは、嫌だった。
ましてや笠原になど言えるわけがない。
あのおっちょこちょいのことだから、何かの拍子にポロリと周りの人間、最悪の場合、本人に漏らしてしまうだろう。
言えるわけがない。
一方、残された笠原は堂上が去っていった方向を見つめたまま立ち尽くしていた。
「あんたも馬鹿ね。」
そこにやってきたのはもう一人の親友、柴崎だった。
「あ、柴崎…。」
「あんたが他人の恋愛事に口出して上手くいったことある?」
そう言われてよくよく考えてみる。
「………ない、かも。」
「かも、じゃないでしょ。とにかく、あれは本人の問題なんだからあんたは余計なことしちゃ駄目よ。」
「柴崎は何か知ってんの?」
「ふふ、さぁね。さ、早く夕飯食べに行きましょ。七恵が先に行ってふてくされてるから。」
意味深に笑う柴崎に、笠原は納得いかないと言いたげな様子だったが、柴崎に押され渋々その場をあとにした。
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