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「堂上教官ったら、本当は七恵のこと抱きしめてみたいくせに!」

「あ、アホか貴様は!」

「え!本当ですか!?堂上さん!」

「い、いや!違う!」

「え…違うんですか…?」

「あ!いや…って何を言わせるんだ馬鹿!」


コツンと頭を小突かれ、雪片が笠原からやっと離れた。

きっと笠原だったならば、コツンではすまされなかっただろう。

小突かれた頭をさすりながら雪片はニッコリと微笑んだ。そして、いつものあの言葉を口にした。

「堂上さん大好きです!」

「お前はいつもいつも…。」

「だって本当のことですもん!」

「あ〜はいはい、わかったからさっさと仕事に戻れ。」


しっしっ、と手で追いやれば頬を膨らませて帰っていく。


この一連の動作も会話も、毎日恒例のものだ。


しかし今日はいつもとは違い、雪片が去った後、笠原が腕を組んで何かを考え込んでいた。

こういうときは決まって良くないことを考えているに違いない。

ましてや、雪片絡みとなると嫌な予感しかしない。

ここは早めに切り上げようと踵を返し、宿舎へと帰ろうとした。

しかし、その足は笠原の言葉によって動きを止めざるをえなかった。


「実際のところ、教官は七恵のことどう思ってるんです?」



嫌な予感が見事に的中した。

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