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その知らせが舞い込んだのは、ちょうど時計の針が正午に差し掛かった頃だった。


「笠原!!!!!」

今日は午後から訓練だからそろそろ昼休憩にするか、と小牧と話をしていたその時に今日は休みだったのかラフな格好をしたままの柴崎が慌てた様子で走って来た。

笠原を呼ぶその声はえらく取り乱していて、誰がどう見てもただ事ではなかった。


「え、柴崎!何があったの!?」

「ハァ…ハァ…こ、これ!」

差し出されたのは携帯。
画面には通話中と表示されており、発信者には七恵の名前が表示されていた。

異変を感じ取った堂上と小牧も、何事かと笠原の元に集まりその携帯に意識を集中させた。


“「あ、こいつ!見覚えがあります!確か図書隊の関係者ですよ!先月、騒がれてたやつの片割れです!」”

“「そうか…。使えるな、こいつ。」”



な、んだ。この会話は。
子供の泣き声とざわつきが大きくて上手く聞こえなかったが確かにそう言った。

普通の会話じゃない。
こんな会話が七恵の携帯から聞こえてくるなんて、まさか。
最悪な予想が頭を巡って止まらない。
頼む。はずれてくれ!

しかし、その後に続く周りにいた誰かの声がその最悪な予想を決定づけた。


“「あの子ども庇った人、知ってる!この間雑誌に載ってた!関東図書隊の二大アイドルとかいわれてた雪片七恵でしょ?やばくない!?」”




「これどういうこと、柴崎!!」

「落ち着け笠原!」

サッと血の気が引く音とともに笠原の悲鳴じみた声が辺りに響いた。咄嗟に落ち着け、と言ったものの自分の方がきっと動揺している。心臓が早鐘のようにドクドクとうるさい。

「今朝のニュース、見たわよね。その暴徒の事件に巻き込まれてるらしいのよ!」

「場所はどこだ。」

「…堂上?」

「場所はどこだ!」

「お、恐らく七恵のことだからすぐ近くの一番大きい本屋に…!」

「あそこか!近い!」

「あ、堂上!待て!!」


気づいたらもう体は走り出していた。



頼む。

間に合え!間に合え!!



脳裏に浮かぶのは、まだ記憶に新しいあいつの泣き顔。



頼む!!!






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