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「ああ?なんだお前。」

「あ、こいつ!見覚えがあります!確か図書隊の関係者ですよ!先月、騒がれてたやつの片割れです!」

「そうか…。使えるな、こいつ。」



足が、震える。
指の先から氷の様に冷えていくのが自分でもわかる。

怖い!怖いものは怖い!
私の顔を覚えている人がいるなんて、予想外だった。人質か何かで連れていかれるんだろうか。

そうなった場合、自分が殴られるかもしれない。もっと酷いことされるかもしれない。

ああ…。やだよ…。怖い…。

麻子、郁、堂上さん!



“「俺がおまえを守る。」”



そこでハッとした。

あの人は、彼は、そう言ってくれた。
何があっても、と。

うん。きっと、大丈夫。
堂上さんが、皆が、助けに来てくれる。


そして私は生唾を飲み込み、震える喉から精一杯の言葉を吐いた。


「私、どこにでもついて行きます。ですから、ここにいる人達に暴力を振るうのはやめてください!」

「ふん。いい度胸だ。買ってやる。」


よし。

ここに飛び込む前に携帯を通話状態にして近くの本棚の影へ置いてきた。
上手く麻子へ繋がっていれば、この出来事は既に伝わっているはず。

そして、堂上さんからもしもの時の為にと渡されていたものを、過激派が何か話し込んでいる隙に手探りで探す。

それは、お守り型の小型発信器。
あの騒動の時に念の為にと稲嶺司令が用意してくださったものだ。

お守り自体は堂上さん自らが買いに行ってくださったという話を小牧さんから聞き、騒動が収まった今もこうして大切に持ち歩いていた。

けれどいくら探してもポケットのどこにもない。

あ、鞄の中だ…。


「よし、車に乗せろ!」

「おら、来い!」

「ちょ、ちょっと待ってください!」

目線で鞄を探す。
しかし、目に写ったのは子供の酷く怯えた顔だった。



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