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「でも本当に良かったねー!七恵!」

「一時はどうなることかと…。」

「そうねぇ〜。」


お前のせいだろ!!
珍しく二人で突っ込む七恵と笠原。
その様子を見て柴崎はケラケラと笑った。

業務も終わり、給料日後ということもあって久しぶりに外で女子会をしようということになり、三人はそこそこ小洒落たレストランへと来ていた。

初めての場所だけれどここはなかなか雰囲気もよくて居心地がいい。

ついつい長話をしてしまう女子にはうってつけのお店だ。


「あら、あたしじゃなくて広報に言ってよ。それに、悪いことだけじゃなかったでしょう?」

悪びれた様子もなくそう言った柴崎は私を見ながらサラダを口へ運ぶ。
その目は楽しげに細められていて、何のことを言っているのか一瞬で理解してしまった。

ふと思い出す。
頭を撫でる大きな手の感触と涙の跡を拭う優しい手つき。そして、真っ直ぐ自分を見つめる視線。
途端に頬に熱を感じて、手で慌てて隠してみても、にんまりと笑う二人の視線からは逃げられなかった。


お、思い出したら恥ずかしい!
あ、赤くなっちゃったかな…。


何もかも見透かされてる感じがして、ちょっと恥ずかしい。いや、見透かすも何も覗いてたんだっけ。

まあ、それはひとまず置いておこう。

「え、えと。わ、悪いことだけではなかった…かな。」

尻すぼみに小さくなっていく声と比例して、空気が抜けていく様に七恵の体も小さくなっていく。

言ってからまた恥ずかしくなったのか、背を丸めて顔を伏せていく。しかし、髪から覗く小さな耳が真っ赤に染まっているのを二人が見逃すはずもなかった。




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