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「柴崎ー!見つけたー!どうしようー!」

あの後、慌てて部屋を出て行った笠原と手塚はある人物を探して館内を走りまわっていた。やっとのことで見つけたお目当ての人物は呑気にお食事中だった。

「あら。あんたら二人が一緒に食堂舎へ来るなんて、珍しいこともあるもんね。ま、だいたいの察しはついてるけど?」

しかし捕まった本人は事もなげにそう言って、優雅にお味噌汁を啜っている。

お、今日の味噌汁は赤味噌か。


「まあ、だろうと思ったけどな。あ、俺日替わり定食。お前は?」

「あ、あたしも!って、わかってるんだったら、何とかしてよー!」

それでも素知らぬ顔で食事する柴崎に顔を近づけて笠原が怒鳴った。

このままじゃ七恵が!
あたしの七恵がー!!



今日は特別だ、と言って二人分の定食を手に帰ってきた手塚が笠原とは反対の柴崎の隣に座ると、柴崎は少しだけ椅子を手塚側へとずらした。

「ああ、もう、あんたうるさい。そんな耳元で叫ばなくてもわかってるわよ。でも…そうねぇ。このまま長谷君にとられるのは面白くないかなぁ。あ、でも。案外早く解決するんじゃないかしら。」

クスリと笑う彼女はついと目線を廊下へと移した。自分からは死角になっていた廊下を身を乗り出して見やる。
そして、笠原はギョッとした。



「笠原!笠原はいるか!!」

「え、ちょ、どうしたんですか堂上教官!そんな慌てて!」

「お前に、頼みがある!!」

「…へ?」



クスクス、とは違う。ニヤニヤといった表現が似合うような笑みで柴崎がこちらを見ている。


なるほど。確かに早く解決しそうだ。
だって、話の中心人物がやっと乗り気になってくれたのだから。



柴崎のポリポリと漬け物を齧る音がやたらと頭に響いた。



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