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それが、出会いでした。
その後、男は捕まり、泣きじゃくる私を彼が優しく宥めてくれた。
「もう大丈夫だ。大丈夫だからな。」
そう言って優しく頭を泣き止むまでずっと撫でてくれた。
そして、こう言った。
「この図書館を、嫌いにならないでくれ。俺たち、いや俺が、ぜったい守るから。」
なんて強い目をしているんだろう。
まるで自分のことのように怒り、悲しみ、慰めてくれた。
そしてこの瞳は、きっと私を裏切らない。
とくん。とくん。
「…また、ここに来てもいいですか?あなたに、会いに来てもいいですか?」
「…ああ、勿論だ。」
「名前、教えてください…。」
「堂上篤だ。君の名前は?」
「雪片七恵、です。」
それは1年前のことでした。
私は堂上篤という人に恋をしました。
初めての恋でした。
あんなに辛い経験をしても立ち直れたのは、きっとあなたのおかげだったと今でも強く思います。
つづく
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