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「や、やめて…やめてくださいっ!」


なに?どうして?
意味がわからない。


本を持ってもらって、一緒に話しながらカウンターへ向かっていたはず。
でも、気づいたらさっきの所よりも人目につかない所まで来ていて…。

「あれ?今思ったんですけど、カウンターってあっちじゃないですか?」

そう尋ねた途端、その人は豹変した。




「やだ…やめっ…郁っ…」

目の前には欲に揺らぐ男の目。

大きな声を出そうとしてもその目に気圧されて、喉からは声になり損ねた空気しか出てこなかった。


怖い。やだ、怖いよ。


男は首元に顔を近づけ、すんすんと鼻を動かしている。
些細な抵抗で体を動かしてみても、後ろの本棚が悲鳴をあげるだけで状況は変わらない。


なに?どうして?
怖い。いやだ。気持ち悪い。

こんなことになるのなら、図書館なんて来なければよかった。

こんなことになるのなら…。


「たす…けて…。」

















「おい、お前!そこで何をしている!」

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