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「さぁさぁさぁ!ドドーンと話して!」

「ドドーン、と…?」

「そう!ドドーンと!」

「うっ…ぐすっ……郁ー!」


そう言って両手を広げてくれる笠原に、七恵は思いっきり抱きついた。




あれから堂上に見つからずに女子寮へと帰ってこれたのは良いものの、部屋につくなり七恵は膝を抱え座り込んでしまっていた。

ちなみに、笠原と柴崎がこの状況にでくわすのはこれで四度目である。
さすがに四度目ともなるとどう対応すれば良いのかなども学習するわけで。

笠原はこれまでのパターンと同様に冷蔵庫からよく冷えたアルコール缶を取り出した。

お酒を飲みながらの愚痴大会。
それが七恵のモチベーションを取り戻す方法だった。
それに加えて何かしら甘いものを与えてやれば、次の日にはケロッとしているのだから、彼女ほど女の子らしい子はいないと笠原は思う。


「さぁ、柴崎もそろそろ帰ってくる頃だろうし先に始めちゃおっか!」



しかし、その日は違った。


軽快な音を立てて開いた缶には目をくれず、七恵は以前俯いたままぐすぐすと鼻を鳴らしたまま。


あ、あれ?あれあれあれ?



「…七恵〜?あれ?七恵ちゃ〜ん?」

「う、うぅ……うわぁーん!!!」

「ちょっと七恵さーん!?!?」


どうやら今回は一筋縄ではいかないらしい。
今までのパターンからは大きく外れ、遂に七恵は大声で泣きはじめた。
もうこうなってしまっては笠原では手がつけられない。
この状況を何とかしうる可能性をもつ同居人は、今はまだ外出中だ。
笠原にできることは、ただ七恵の背中をあやすようにさすることだけであった。



早く帰ってきて柴崎ー!!!!

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